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第138話

* * * 「純。……じゅーん、いい加減起きて」 「んー」  ぼんやりとした頭の中に正和の声が響いて目を覚ます。 「……は?」 「は、じゃないよ。夕飯にするからおいで」 (え? ……あれ?)  俺は保健室に行って保健室の少し硬いベッドに寝ていたはずなのに、何故正和さんの部屋のフカフカの大きいベッドにいるんだろう。  起き上がるが朝から何も食べてないせいで少しクラクラする。 「……いま何時?」 「八時」  正和さんの話によると、保護者である正和さんの所に三時頃電話がいったそうだ。それで、そのまま彼に運ばれて、車の後部座席に乗せられて帰ってきたらしい。  よく起きなかったな、と自分でも少し驚く。  リビングへ向かう正和さんの後をついて行き、食事の準備を手伝う気力もなくて椅子に腰掛ける。力なく、クターっとなっていたらクスクス笑われた。 「ご飯与えないプレイも良いね」 (……はい?) 「なにそれ」 「丸一日食事を与えないで、次の日クラクラして力の入らない純をたっぷり犯してあげるの」 「い、意味わかんない……やだよ、そんなの」 「ああ、それで飲み物に媚薬でも混ぜとけば、最高だよね。お腹空っぽだから効き目ばっちり」 (この人、頭おかしいです。俺には理解できません。っていうか本当にやりそうで怖いです) 「今朝散々したくせに……」 「うん、だから今度」  正和さんはクスクスと笑ってご飯を食べ始める。 「体調大丈夫?」 「大丈夫だったら保健室で寝てないし」 「ごめんね」 「……次あんな事したら、ただでは済まさないから」  そう言って俺もご飯を食べ始める。正和さんは水を飲みながらこちらに流し目を送り、スーッとその目を細めた。 「ただでは、ってどうするつもり?」 「それ、は……もちろん、お仕置き」 「ふーん?」  水の入ったグラスを置くと意味深長に呟いてニヤニヤと笑みを浮かべた。その顔を見ていられなくて、俺は視線をテーブルの上の食事に移す。 「な、なに?」 「純にできるのかなーって思って」 「俺だってその気になれば……正和さんみたいな事だってできるし」 「じゃあ、また今朝みたいな事しちゃったら、俺みたいにえっろーいお仕置きするの?」 「そう、だけど……」  顔を上げて正和さんのことを見ると不自然な程にニコニコしている。なんか上手いこと言わされてしまったような気がしないでもない。 「いや、でも俺は――」 「それよりさ、文化祭って明後日だよね」 「え……うん」  俺の言葉を遮って聞いてくる正和さんを不思議に思いながらも頷く。 「純は確かお昼まで受付だっけ?」 「ん、九時から一時まで」 「じゃあ土曜日は純が終わる頃行こうかな。一緒にお昼食べよう」 「……うん」 (正和さんも来るのか……)  別に来ないで欲しいとは思わないけど、来てもらってもあまり嬉しくない。

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