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第142話

「下も……さわ、って……」  理性と羞恥心の残る頭で、精一杯のおねだりをする。 「しないって言ったのは純だよ」  それなのに冷たい声で返されて、筆先でそーっと胸の先端を撫でられる。 「それに、さっき言い付け破ったから、今日は駄目」 「そん、な……んん」  正和さんは俺の唇を筆で撫でて、それを中に入れてくる。固く口を閉じて拒否すると頭を優しく撫でられた。 「舐めて」  首をふるふると横に振って抵抗の意を示すと、優しい声で俺の名を呼ぶ。 「じゅーん。イきたいでしょ?」 「~~っ」  薄く開いた唇から筆先がそっと侵入し、舌を(くすぐ)るように口腔を撫でられる。  正和さんは唾液で濡れた筆を引き抜くと、それで胸の先端を刺激した。先程とは違い、水分を含んで毛先がまとまり少し硬度をもっている。弾力のある濡れたそれに撫でられると、まるで舌で舐められているかのような感覚だった。 「はぁ、あっ」 「可愛い」  右側を指で捏ね回されて、左側を濡れた筆で撫でられる。  腰が揺れるのを抑えられない。前に突き出す度に濡れて張り付いた下着がずれて、ヌルヌルと中心が擦れ僅かな快楽を生む。浅ましく淫らに腰を揺らす様は、彼の嗜虐心を煽るには十分だった。  両胸に感じる刺激に、下腹部にはじわじわと熱が溜まって、張り詰める。 「ぁっ、だめ、イく……っ」  射精感がこみ上げて体を強張らせる。だが、胸への刺激はピタリと止んで、その感覚は行き場をなくした。 「え……なんで……」  絶頂を迎えるはずだった中心は疼いて、理性はほとんど持って行かれる。イきたくてたまらない。 「何が?」  正和さんはキョトンとおとぼけ顔でそう言って、再び筆と指で乳首を撫でる。 「はぁっ、も、やだ……やだ」 「何が嫌?」  優しい声音で問いながら、筆と指を巧みに動かし胸の尖端へ刺激を与えてくる。 「イき、たい……っ」 「じゃあ、可愛くおねだりしてごらん」 「ぁ、っ……イかせて、ください」 「可愛くって言ったでしょ」 (可愛くって……なんだよ)  どうしたら良いか分からなくて、正和さんから与えられる刺激にただただ喘いでいると、筆で頬を撫でられる。 「どうして欲しい? どうやってイきたいの?」 「そ、それ、やだ……指で、正和さんの指で、さわって……」 「触ったよ」  クスッと笑って筆を置き、胸の尖端に指を置く。本当に触るだけで動かさない正和さん。さっきまであんなに弄っていたもう片方の手もピタリと止まっていた。 「い、いつもみたいに……」 「いつもって?」 「だから……その、さっきみたいに」 「こう?」  親指と人差し指で乳首をキュッと摘ままれる。 「あっ……指で、くりくりして……っ」 「クリクリって……」  正和さんはクスクス笑って、両方の乳首を捏ね回す。何度も弄られたそこは、赤みを帯びて少し腫れ、じんじんと痺れるような感じがした。 「はぁ、ん……だめ、だめ……っ」  再び射精感が込み上げて体を震わせると、また正和さんの手が止まった。 「も、やだ……なんで」

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