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第143話
「イきたいなら可愛くおねだりって言ったでしょ」
そう言って正和さんはニッコリと笑う。今の雰囲気とは合わない爽やかな笑みに、背筋がゾクッとし体をブルッと震わせた。
「ほら、純はどうやってイかせて欲しいの?」
胸全体を手の平で撫でながら優しい声音で聞いてくる。二度の寸止めで理性は飛び、羞恥心もほとんど残っていない。
「ぁっ……ちくび、で……」
「どうやって?」
「ゆ、ゆびと……した、で」
「舐めて欲しいの?」
コクリと頷くと、正和さんは胸を撫でるのをやめた。
「じゃあちゃんと言ってごらん」
刺激がなくなった事で、早くイきたいという気持ちが増す。一方で触られなくなって、頭が冷め始めた事で羞恥心は高まった。恥ずかしくて言葉が詰まる。
だが、先程まで弄られていた所がじんじんしてむず痒いし、熱の溜まった中心は早く解放されたくて震えている。
「っ……指で、いじって、口で舐めて……乳首で、イかせてください」
目を合わせられなくて正和さんの首元を見ながら、恥ずかしくて震える声でお願いすれば、正和さんはクスクス笑って指先でゆっくり胸を撫でた。
「乳首でイきたいんだ?」
「っ……」
揶揄うような言い方に顔が真っ赤に染まる。目尻から涙が溢れ、頬を伝ってシーツに零れ落ちた。
そこ以外でイかせる気なんてないくせに、何でそんなことを言うんだろう。
「……もう、意地悪やだ」
「ふふ、可愛い。おねだり上手になったね」
胸の尖端をちゅっと吸い上げて、正和さんの熱い舌に包まれる。反対側を指先で転がされて、体がビクビク揺れた。
「はぁっ、ん……やだ、やだ、もう……あっ」
「やだ、じゃなくて『イイ』でしょ」
指先で乳首をキュッと抓られて、痛みに声を上げると正和さんは諭すように言う。そのまま意地悪げに目を細めて「嫌ならやめちゃうよ」なんて言いながら胸を優しく舐めた。
「あっ、ふ……っ、あっ、あっ」
胸が溶けるように熱くて、中心は窮屈そうに下着の布地を突っ張らせる。尖らせた熱い舌先で転がすように弾いて、ちゅるっと吸い上げられると全身がびりりと甘く痺れた。
反対側は指先で何度も擦られて、時折引っかくように刺激される。目を細め意地悪げな笑みを浮かべながら、優しく撫でられれば、表情とのギャップにゾクッと震えた。
体も思考も快楽に溶かされる。
「ん、まさ、かずさっ……あっあぁっ」
チロチロと舌を小刻みに動かされて、ねっとり舐め上げられると、強く刺激されたわけでもないのに、あっけなく欲望を爆ぜさせた。体をびくびく震わせて、思考が白濁とする。
――何も考えられない。
「乳首でイくなんて、女の子みたい」
正和さんはクスクスと笑いながらズボンと下着のゴムを引っ張り、白濁液でドロドロになったそこを覗き込む。
絶頂を迎えたはずなのに、一度も触られなかったせいか、体は火照ってじくじくと疼く。
「あー、女の子でも乳首だけではイかないか」
――嘲笑うような正和さんの声がどこか遠い。
汚れた下着とズボンを取り去って、タオルで拭こうとする正和さんの手を掴み、驚いた表情の顔を見上げる。
「はぁ……いれ、て……正和さんのいれて」
「ふふ、飛んじゃったかな? 可愛いね」
「な、に……んんっ」
正和さんは「何でもないよ」と甘く囁き、ふわりと笑う。軽く唇を重ねて、欲情した目で俺の事を捉えた。
「今朝たくさんしたのに良いの? 腰痛くなっちゃうよ?」
優しい声音で問いながら、蕾をそっと撫でられる。コクリと頷いて正和さんの背中に腕を回せば、苦笑を漏らしてズボンと下着を脱ぐ。
優しく、だけど激しく、声が掠れて意識が途絶えるまで俺の事を抱いたのだった。
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