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第145話 (正和視点)

 純が起きそうもないから、学校には休みの連絡を入れた。たぶんお昼まで寝てるだろう。学校も明日と明後日が文化祭だから、今日は大した授業もないはずだ。 (寝顔可愛いなあ……)  目を閉じているのに、少し微笑んでいるように見える。たまに半目で口も開いてたりすると怖いけど、今日の寝顔は幸せそうで可愛い。  時折、寝返りを打って掛け布団を口元まで掛け直し、温かさにはにかんで、むにゃむにゃ言ってる。指でそっと髪を梳くと、猫のように頬を擦り寄せてきた。 「っ……」 (可愛すぎる)  いつもなら絶対しない動作だが、寝ているからか無防備に甘えてくるその姿に愛おしさが増す。  平日の朝、普通なら学生は学校へ行っている時間なのに、こんな可愛い男子高校生が俺の部屋のベッドにいる。  情事後特有の色香をほんのり(まと)わせて、幸せそうに眠る純をこのまま閉じ込めておきたい。  なんだかイケナイ気持ちになってくる。  きっと数時間後は『何で起こしてくれなかったの』と軽く逆ギレしてくるだろうから、それまでに仕事を片付けて、午後は純の機嫌とりをしながらイチャイチャしよう。  頭を仕事に切り替えて、純の額にそっと唇を落とし、部屋を静かに出た。 (……ふふ、明後日の文化祭も楽しみだなあ)

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