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第173話

「ふーん。……そんな格好で来るなんてやらしい子。どんな想像してたんだろうね?」 「っ……」  揶揄うような言い方に顔が真っ赤に染まり、タオルを握る手にはじんわり汗をかく。 「いつまでそこに座ってるの」 「え……」 「降りなよ。そこは主人のベッドでしょう」 「ご、ごめんなさい」  怒らせたんだろうか。それともこれもプレイの一環なのだろうか。言われた通りベッドから降りて床に座った。  正和さんはベッドの下から箱を取り出すと、俺の前に屈んでベルトのような物を首にまわす。それはスナップで簡単につけられる首輪で、何かを思うよりも早く嵌められた。  そんなものを普段から常備しているのかと思うと少し寒気がする。 「ペットと奴隷……どっちがいい?」 「え、っと……」 「どっちが良いか聞いたの」  早く、と言わんばかりの口調に怯えながら恐る恐る口を開く。 「ぺ、ペット……」 「なあに? ちゃんと言って」 「ペットが、良いです」  ペットと奴隷でどう違うのか分からないが、なんとなく奴隷よりは良い気がしてそう言った。 「ご主人様のペットになりたいです、でしょう?」 (っ……!? ご主人様?)  咎めるようにピシャリと言われて心臓がドキドキしてくる。普段は使うことのない単語に狼狽えていると指先で顎を掬われた。  立ったまま少し屈んだだけの正和さんと、床に座った俺では高さが随分と違う為、いつもよりも高圧的に見える。 「どうしたの?」 『言えないの?』とでも言いたげな目に、背筋を震わせておずおずと口を開く。 「……ご、ご主人さまの……ペットになりたい、です」 「いいよ。良い子にしてたらたくさん可愛がってあげる」 (……これから何をするんだろう)  いつもと少し雰囲気の違う正和さんが怖い半面、何故だか胸がドキドキと高鳴って期待感を募らせた。 「ああ、尻尾がなかったね」 「しっぽ……?」  まさかまた変な薬で尻尾を生やすつもりなんだろうか。そんな事を思っていたら、正和さんは箱から尻尾のように毛の生えた物を取り出した。  その根元には指三本分くらいの太さの棒がついており、男性器を模した形をしている。リモコンもあるからおそらくバイブなのだろう。

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