175 / 494

第175話

 そうだ、本にも書いてあった。『主人を信頼して身を委ねましょう』みたいなことが。正和さんが本当に酷い事をしてくるはずがないし、頑張って耐えたらきっと喜んでくれる。  正和さんの優しい声に少し安心して、体の力が自然に抜ける。それと同時に蕾へ先程の尻尾付きバイブが押し当てられた。 「っ……」  一週間していないし、指で慣らすこともしてないせいか少し圧迫感がある。ローションの滑りを借りてゆっくりと入ってくるそれに、眉を顰めて堪えた。 「ぁっ、……っ、正和、さん……」 「誰が名前を呼んで良いって言ったの」 「ひっ、あぁっ……ご主人、さま、ごめんなさい」  グッと一気に入れられて、思わず変な声が漏れる。そのままぐるりと回されれば、内壁を抉るような強い刺激に腰が崩れ落ちそうになった。すんでのところで、ぐっと踏ん張りなんとか体勢を持ち直す。  正和さんの手が離れ、安堵したのも束の間、中に入ったバイブが振動し始める。 「あっ……はぁ、んっ、ん」 「尻尾振っちゃって……そんなに嬉しい?」  そう言って振動が更に強くなり、腕に力が入らなくなる。顔を絨毯につけながら腰を揺らす姿は酷く淫らだ。 「あぁ、やだ、イく、イきたい」 「まだダメだよ」  正和さんの低い声音に少しだけ冷静さを取り戻して、絶頂を迎えそうになった男根を両手で握る。  「はっ、あぁっ、やだ、イかせて、イかせてください」  強すぎる刺激に目の前がチカチカして、ドライでイキそうになった。しかし、振動はイく寸前で弱くなり、顔を上げると正和さんと目が合う。 「ここ、勝手に触っちゃダメって言ったんだけどなあ」  そう言って俺の男根を根元から先端まで撫でて見下ろす。 「そんな……っ」  そしたら、トイレもダメって事だったのか……などと、ぐるぐる考えて、震える声で謝罪の言葉を紡ぐ。 「勝手に触って……ごめん、なさい」  涙がポロポロと溢れ出して、嗚咽をこらえたら肩はひくひくと揺れる。目元を腕で乱暴に拭うと、彼はクスッと笑った。 「冗談だよ。ちゃんと耐えて偉いね。……可愛い」 「ぅっ、っ、ひっく」 「イきたい?」  頭を優しく撫でながら聞いてくる正和さんに、コクコクと頷くと彼はニッコリ微笑む。 「じゃあ俺をイかせたら、純もイかせてあげる」  そう言って歩き出した正和さんについて行こうと立ち上がると、厳しい口調で止められた。 「だめだよ、立ったら。そのまま四つん這いで来て」  ソファに座った正和さんの目の前まで、言われた通り四つん這いで行く。だが、彼は服を脱ぐ気はないようで。 「どうすればいい……?」 「いいですか」 「え……あ、どうしたら、いいですか?」 「お好きにどうぞ。でも手は使っちゃだめだよ」 「え……?」 (手を使わないでどうしたら……) 「口があるでしょう」  俺の疑問に答えるようにそう言ってニッコリ笑った。「ほら、イきたいんでしょ?」と、リモコンを操作したと思ったら、一瞬だけ振動が強くなって身動ぐ。 「はぁっ、ん」  正和さんの足の間に入り、膝立ちすると後ろがキュッと締まった。振動はそれほど強くないのに、内壁の弱い所を隈無く刺激されて足がガクガクと震える。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!