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第179話
後ろに玩具が入っているので、前屈み気味に割座した体勢でソファの前にいると、正和さんが手に何かを持って戻ってくる。
「お仕置き」
そう言って目の前で見せられたのは鞭のようで、先が分かれていて何本もついてるようだ。
「そんな、たくさん……っ」
「一本鞭より痛みはないよ。イった理由、素直に答えられたからこれで許してあげる」
ニッコリ笑って、鞭の柄で俺の頬を撫でながら言葉を続ける。
「何回打たれたい?」
「え……何回って言われても……」
一回と言ったら反省してないと怒られるだろうか。
「じゅ、十回……?」
「ふーん? 十回……じゃあ倍の二十回ね」
(っ……そんな……)
「お尻出して」
正和さんが鞭をピンッと張り、スーッと細めた目でこちらを見てきて、背筋がゾクリと震える。
(かっこいい……)
なんて思ってしまう俺はどこかおかしいんだろうか。
「出さないなら、ここ叩くよ」
そう言いながら鞭の先で中心部分にさわさわと触れた。一瞬にして血の気が引き、青ざめる。
正和さんの方にお尻を向けて四つん這いになると、ベビードールの裾を少し上にめくられる。
「自分で二十回数えてね。数えなかったら一から数え直しだから」
そう言った直後、正和さんが鞭を振り抜き、ピシャッと大きな音が響く。
「あぅっ……!」
(え、なにこれ)
お尻を続けざまに叩かれて、背をしならせる。
「んんっ」
「ほら、数えなきゃ」
「あぁぁっ、い、ち」
もっとこう皮膚が切れるような鋭い痛みを想像していたのに、実際は全然違った。確かに肌表面に叩かれた時特有のピリリとした痛みを感じて、熱をもったようにじんじんする。
だけど、それ以上に腰の奥にズシンと響くような快感が広がった。
「はぁ、ぁ……さ、ん」
「もっと大きな声で数えて」
「いったぁっ……よんっ」
二、三回に一度は物凄く痛い鞭が降ってくる。しかし、その後に叩かれるのは気持ち良くて、中心は萎える事なく大きくなっていく。
叩かれて痛いはずなのに、薬でも使ってるんじゃないかと思うくらい、全身が痺れるように気持ち良い。
「ひゃ、はああぁん……じゅ、さん」
「へえ、そんな可愛い声も出るんだ」
叩かれるとお尻がキュッとしまって、中の玩具を締め付けるから、余計に感じるのかもしれない。
「い゛っだぁ……っ、じゅーよん」
腕は支えきれなくなって、顔を床につける。かろうじて支えている足はガクガクして、しっかり腰を上げるよう怒られた。
「いぃぃっ、痛いっ……も、ゆるして……」
続けざまに降ってきた痛い鞭に体勢が崩れそうになり、絨毯を掴んで必死に体を支えていると、冷たい声が降ってくる。
「……今数えなかったね。数え直し」
「あ……じゅう、ご」
「もう遅いよ。また一からね」
「あ、やだ、あぁぁっ……い、ち」
だんだんお尻がヒリヒリとしてくる。そこは熱を持っていて焼けるように熱い。
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