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第185話
昨日は正和さんとくっついて少しのんびりした後、一緒にお風呂に入った。鞭で打たれたお尻は少し切れてしまったらしく湯が沁みたが、正和さんに手当てをしてもらった。
「おはよう」
目を覚ますと優しく微笑んだ正和さんに声をかけられる。雰囲気からして、だいぶ前に起きていたようだ。
「お、おはよう」
「体大丈夫?」
「……痛い」
体全体がだるいし、腰が痛い。お尻はヒリヒリジンジンする。ついでに頭と喉も痛い。これは泣きすぎたのと、喘ぎすぎたせいかもしれない。
「ご飯は食べられそう?」
「うん」
「飲み物は何が良い? 持ってきてあげる」
「何でもいい」
「ちょっと待っててね」
正和さんはベッドから出て、ズボンとシャツを着るとすぐに部屋を出て行った。少ししてスポーツドリンクの入ったペットボトルを持って戻ってくる。
「今ご飯作ってるから、できたら持ってくるね」
そう言って唇にキスを落とし、ペットボトルを渡してくる。何だか少し恥ずかしくて、赤くなった顔を隠すように下を向いて、ペットボトルの蓋を開けると、彼はクスッと笑って部屋を出て行った。
五分くらいして、正和さんがお盆にお椀とスプーンを乗せて戻ってくる。それをベッドの脇の小さなテーブルに置いた。
「何これ?」
湯気が立っていて良い匂いがする。美味しそうで、喉を傷めていても食べやすそうだ。
「鮭茶漬け。お粥にするほど弱ってないでしょ?」
(あー、お茶漬けか)
「うん。正和さんは?」
「俺は後で適当に食べるよ。冷めないうちにどうぞ」
「……いただきます」
正和さんの作ったお茶漬けはとても美味しい。お茶漬けってごはんに適当に具を乗せてお茶かけるだけのイメージだったけど、出汁でもとってあるのか凄く美味しかった。
彼は食器を下げた後、軽く食事を済ませてきたらしく三十分程して部屋に戻ってきた。俺の隣に転がって抱き締めてくる正和さんは、そのまま優しく腰をさすってくれる。
どんなに変態でも、どんなに酷く抱いても、終わった後はこうやってとても優しくしてくれるから好き。一緒にいると凄く落ち着く。
見上げると目が合ってしまい、恥ずかしさからすぐに視線を逸らす。すると正和さんの胸が視界に入って、昨日の事を思い出した。
薄手のシャツ越しに胸に触ってみる。いつも家にいるのに、何でこんなに筋肉がついているんだろう。
「どうしたの? くすぐったいよ」
微笑んだ時の目で俺のことを見てくる。
「……何でこんな筋肉あるのかなって思って」
「ああ、日中は週三、四回ジムに行ってるからね」
「あ、そっか……ずっと家にいるわけじゃないんだ」
納得して呟くと彼はクスッと笑う。
「そりゃあね。……だから純が学校行ってる間、他の子と遊んでたりして」
「っ……!」
「冗談だって。そんな悲しそうな顔しないで」
そう言って腰をさすってくれていた手で頭を撫でてくる。
「俺が純のこと大好きなの、純も知ってるでしょ?」
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