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第197話 (正和視点)

 あと二日もするとクリスマスイブ。純はもうすぐ冬休みに入る。しかし、そんな純の様子が最近おかしい。  いや、全部普段通りなのだがエッチだけは避けられている。ベッドに入るとすぐ寝ちゃうとか、疲れてるからとか、体調が良くないとか、ナチュラルにかわされる。  しない為の言い訳なのは明らかだから、寝ようとする純を襲おうとしたら凄い拒否されたのが三日前。 『や、いやだ! やめてっ!!』  あの時の拒否の仕方は尋常じゃなかった。初めてした時かそれ以上に嫌がっていて、正直かなりショックを受けている。  そう言えば、エッチだけじゃなくて唇へのキスも全くしていない。もしかして、この間のプレイが嫌だったのだろうか。 (でも加減はしたし喜んでたよな……)  あれから三週間以上経つからさすがにつらい。その間一人で抜いてはいるものの、相手がいないと満足感というものは得られず、欲が満たされないのだ。悶々として、ここの所は仕事の進みも悪い。 (……店で抜いてくるか)  純の場合、風俗は浮気に入るんだろうか。拒否してるのは純だし許してくれるかな。  そんな事を思いながら、携帯電話を取り出し風俗店のホームページを開く。自分の店の子とは絶対しないと決めているから他店のものだ。  BOYのアイコンをクリックすると、男の子の顔写真がずらーっと並ぶ。純ほど可愛い子なんてそうそういないけど、エッチな事するだけだし十分だ。 (あー、ドキドキする)  その場限りの関係だが、やはりプロの子はうまいし、素直で積極的だから可愛い。お店の電話番号を入力して、通話ボタンに手をかける。 (……純が知ったら怒るかな? いや、あの性格だから悲しむかな。……どうしよう)  でも俺もずっと避けられるのはつらい。ちょっとした浮気心が出てしまうのも仕方ないじゃないか。純が一番だし、とても愛してる。だけど、それとこれとは別だ。同じ男ならそれくらい分かってくれるだろう。 (……でも、そもそも何で純はあんなに避けてるんだ?)  純だって溜まってつらいだろう。それに純は俺と違って一人で抜くのも禁止だ。それなのに三週間以上も避けるというのはあまりにも不自然じゃないか。 (なーんか、そうなると浮気してるとしか――) 「うわ、き……純が、浮気……?」  いや、そんなはずはない。そんな事をするような子とは思えないし、純は俺の事を大好きだ。俺を見る時の目は甘いし、これはきっと自惚れではないはずだ。  だが、帰りの迎えはしなくて良いと言って友達と帰るようになった頃と、純の様子がおかしく感じ始めた頃がちょうどかぶる。 (本当に友達と帰ってるのか?)  純を束縛し過ぎるのも可哀想だから、実際に確認する事はしていない。

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