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第201話

「やだ、やめ……っ」 「……純」  正和さんの体を押して離すと、彼はつらそうな顔をして名を呼んだ。  すると何故か、俺のシャツを腕から抜き取り完全に脱がし始める。ベルトもカチャカチャと音を立てて外され、下着ごとズボンをおろされた。 「やっ、正和さん……?」  服を全て脱がされて、革製の手枷をそれぞれの手首につけられた。それを左右別々の鎖でベッドへッドに繋ぐ。鎖が短い為、手を首から下におろせず、両手を合わせる事もできない。  突然の出来事に頭がついていかなかった。 「や、やだ……外して……」 「俺が帰ってくるまでここで良い子に待っててね」 (どこ、行くの……?) 「ま、正和さん、ごめんなさい……本当にごめんなさい」  震える声で必死に謝ると頭をそっと撫でてくれた。 「純の事は怒ってないよ。……でも、ちょっと学校に行ってくるから良い子にしててね」  ふわりと掛け布団をかけてくれる正和さんは怒っているようには見えないし、優しい顔をしている。 「帰ったらたくさん可愛がってあげるからね」  甘く優しい声音でそう言って微笑む。 「正和さん……」  俺は彼のことを見つめたまま消え入るような声で名を呼べば、震える唇に優しくキスをして出て行った。  全裸で手を拘束されたのとは真逆の優しい仕草に違和感を覚え身震いする。  彼は学校へ行ってどうするつもりなんだろう。俺はこれからどうされるんだろう。ドキドキして小刻みに震え、冷や汗が出てくる。  そこでふと、部屋に甘い香りが漂っている事に気がついた。香りはすぐさま部屋に充満して、咽せそうなくらい濃くなっていく。その甘ったるい匂いを嗅ぐと、不思議と気持ちは落ち着いてきた。  頭がぼーっとして、体が熱い。  正和さんはいつ戻ってくるのだろう。恐らくあれから一時間以上は経っている。  甘い香りを嗅いでから熱くなり始めた体に最初は戸惑ったが、今はそんな余裕もない。早くこの熱をどうにかして欲しくてたまらなかった。 「はぁ、……はぁ」  体が火照って熱い。敏感になった肌がシーツに擦れて、ビリビリする。乳首がむず痒い。  昂った自身の熱を紛らわすように、膝を擦り合わせて腰を捩る。 「はぁ、ぁ……正和、さん」  仰向けでどこにも触れない為、体は刺激を求めて震え出す。足を上げて踵で男根の先端を少し擦ると、全身に電気が走ったみたいにビリビリしてゾクゾクと震えた。 「あっ、ん……正和、さん、まさかずさん」 「……お布団全部脱いじゃったんだね」 「っ……正和、さん?」  横を向くと正和さんが扉の前に立っていた。彼は扉を閉めるとゆっくりとこちらに近付いてくる。 「ただいま。俺の名前たくさん呼んでたの? 可愛いね」 「っ、あぁ、ん」  頬を撫でられただけなのに、ゾクゾクして甘い声が上がった。 「だけど、ここは触っちゃだめって言ったよね」  優しく言いながら俺の男根を掴み、ゆっくりと擦りあげる。そんな事をされたら気持ち良すぎておかしくなりそうだ。 「あっぁ、ごめん、なさい……っ」 「でも俺のこと考えて良い子に待ってたみたいだから許してあげる」  とろんとした瞳で見上げると彼は優しく微笑んだ。なんだか本当に正和さんなのか疑ってしまいそうなくらい優しい。

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