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第216話
他愛ない話をしながら食事をして、ケーキを食べる頃には食べ過ぎてお腹がパンパンに膨れてた。
(うー、苦しい)
「凄いお腹」
二人でお風呂に入るのに服を脱いだら、彼にお腹を撫でられて、思わずビクッとする。
「この調子だと一年後にはぽっちゃりしそうだね」
「…………」
正和さんの言う通り、このままだと太りそうだ。最近は身長が全く伸びず、体重ばかり増えている。
もうこれ以上は伸びないのだろうか。正和さんと同じくらい……とまではいかなくても、せめて一七〇は欲しい。
「はぁ……」
「もうちょっと食べる量減らしたら良いんじゃない?」
クスクス笑う彼は、俺が体重が増えている事を気にしてると思っているらしい。
「……これから毎日牛乳飲む」
「牛乳? ……あー、そんなの毎日飲んだって無駄だと思うけど」
そう言って俺の頭から足元まで見やる。
「うるさい」
「今のままの方が可愛いよ。抱き心地も良いし」
「……やだ。あと八センチは伸ばす」
揶揄うように笑う彼に背を向け、独り言のように呟いて浴室に手をかける。すると少しだけ低くなった声が降ってきた。
「俺が良いって言ってるんだからいいの。それとも何? 女の子にモテようとか思ってるわけ?」
「え? ……違、そんなんじゃ」
後ろから、扉に掛けた手を掴まれて、背中が密着する。お互い服を着ていない為、直に伝わる体温に胸が大きく脈打った。
「純は俺の為に可愛くなってれば良いの。背なんてそれ以上伸ばしてどうするの」
顎を掴まれてクイッと斜め上を向かせられる。
そのまま乱暴に口付けられて、ちょっとイラっとした。
別に良いじゃないか。言った所で伸びないものは伸びないのだから。
「ムッとしないの。今の純が凄く可愛いって言ってるのに」
俺の頭をポンポンと撫でて浴室の扉を開けると、後ろにいた彼はするりと回り込み先に入った。
内心、不満が残るがいつまでもここにいるわけにいかないので俺も後に続く。
「純。こっち来て」
手招きをして近くに来るよう促す彼に従い、渋々そばに行くとにっこり微笑んでだ彼に腕を引かれて、彼の前に座らせられた。
「大好きだよ」
彼は手に持ったシャワーから湯を出して、頭を丁寧に流してくる。どうやらシャンプーしてくれるらしい。
「…………」
正和さんの長い指が髪を梳くように洗っていく。大好きだ、という彼の言葉と触れてくる指の気持ち良さに、ささくれ立った心が次第に穏やかになった。
背中まで流してくれて、自分の頭を洗い始めた彼の脇で体を洗う。
浴槽に足を入れると少し熱かったが、慣れればそうでもなくて、後ろから抱き締めてくる正和さんの腕に包まれて、何を話すでもなく二人でゆっくり湯に浸かった。
お風呂を出たあと、服を着ようと下着に手を伸ばしたら、その手を正和さんに握られて、俺は首を傾げる。
「なに……?」
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