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第234話 (正和視点)

「まさかず、さん……」 (本当……可愛い)  焦らされて刺激を求める体。潤んだ瞳。だらしなく開いた唇。火照って赤みを帯びた肌。なけなしの理性で鞭を拒むが、体は期待で震えている。  ドMなの認めたくないみたいだけど、これだけ耐えてる時点でドMでしょ。 「はぁ、はぁっ」  荒い呼吸を抑えるように全身を強張らせて。湧き上がる欲求を抑え込むように体を捩る。従順で素直な子が好きだけど、純のこうやってすぐには落ちない所。結構好き。  従うでも反抗するでもない、己の理性と闘いながらただただ耐えるこの態度。めちゃくちゃ可愛い。  あれだけ薬を盛られて体は限界のはずなのに、叩かれて感じるのを認めたくないのか、それとも恥ずかしいのか、なかなか欲求を口にしない。 『言わないならもういいよ』  なんて、部屋を出て行きたくなる。 (そうしたら泣くかな?)  泣いて可愛く強請るんだろうな、なんて考えただけでゾクゾクする。  早く言えば良いのに。欲求のまま快楽に身を任せれば楽なのに。どうしてこう煽るのがうまいかな。嗜虐心を掻き立てられる。 (可哀想だけどね、純) 「時間切れ」  俺のこと待たせ過ぎ。  生憎、俺はMじゃないんでね。純のようにいつまでも耐えるなんてできないかな。

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