236 / 494
第236話 (正和視点)
(ヤバい。可愛い。可愛すぎる。何この子)
『だめ。ご飯食べないならしない』
この一言で震えながらご飯を食べ始めた純。
「はぁ、ぁっ」
鱈を箸で頑張って掴み口へ運ぶ。媚薬を二つも飲んでるせいか、食べるのにも感じるらしく、熱い吐息を零して時折喘ぎながら食べている。
適当に焦らして、泣いて縋ってきたら遊んであげようと思ってたのに。
だって普通、泣き出すか逃げるか怒るでしょ。まあ、お仕置きの後だし逃げたり怒ったりはしないだろうけどさ。なに健気に意地悪な俺の言うこと聞いてんの。
震える手で器を持って、オニオンスープを飲んでいる。
(……可愛い)
ねえ、どんな気持ちで食べてんの。イヤらしい事しか頭になくてご飯の味しないよね。食べるだけで感じて苦しいでしょ。
嘘ついた純のこと、たくさんいじめてあげようと思ってたのに。そんな事されちゃうと優しくしたくなるって知っててやってんの?
今日は優しくしてあげるつもりなかったのに、そんな風に言うこと聞かれたら調子が狂う。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!