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第247話

「だから、えーっと……これから仲良くして? って、今更嫌かもしれないけど」  芳文さんは少し反省したのか、申し訳なさそうに言った。なんかもう面倒くさい。本当今日疲れた。 「別に嫌じゃないですけど……、着替えて来ます」  席を立つと「宜しく」と言って両手を握られた。今度は痛くない。  手を離されて服を着替えに行こうと思ったら、お風呂から出たらしい正和さんが戻ってくる。 「芳文、明日何時に起きる? ……って、どうしたの純。服びしょびしょ」 「えっと……」  どう答えたものかと、芳文さんをチラリと見る。 「芳文さー、純のことあんまりいじめるなよ」 「い、いじめてた訳じゃないよ!」 「……うん、芳文さんとちょっとぶつかっただけ。着替えてくる」  芳文さんが正和さんに怒られたせいで、また意地悪されたら堪らないから、適当な事を言って服を取りに行った。せっかく平和に過ごせそうなのに、再び敵意を向けられたら困る。  綺麗なパジャマに着替えて、濡れたパジャマを洗濯かごに放り、リビングに戻った。 「兄さんと寝る~」 「悪いけど俺は純と寝るから。部屋たくさんあるし他で寝て」 「良いじゃん、今日と明日くらい俺と寝てくれたって。いつも一緒に寝てるんでしょ」 「……純が寂しがるから無理」  寝る場所について話している二人に心の中で苦笑する。なんか二人とも子供みたい。 「じゃあ、三人で寝ればいいじゃん」 「いくらベッドが広いからって三人じゃ狭いし寝づらい」 「えー。良いよね、純くん」  話を突然振られて返しに困る。 (でもまあ、二日間だし) 「別に俺は……」 「ほら、良いってよ兄さん」 「……真ん中俺だろ?」  物凄く嫌そうな顔でそう言った正和さんに、ニコニコして聞く芳文さん。 「じゃあ純くん真ん中にするの?」 「いや、それは……」 「はーい、決定~。兄さん真ん中」  強引な芳文さんによって三人で寝る事が決まった。

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