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第249話

「毎週来るわけじゃないし良いでしょ」 「あー……うん」  正和さんは芳文さんの押しに弱いらしく、なんだかんだ言われた事は全部受け入れている。強引と言うか、我が儘と言うか、あれくらいの性格の方が正和さんとは付き合い易いのかもしれない。  俺もあんな風に言えれば、正和さんに良いようにされずに済むのかなー、とか思ったり。  昼食も夕食も常に正和さんにベッタリの芳文さん。あそこまでべったり甘えられるのはある意味凄い。  今こうして俺がお風呂に入っている間も甘えまくりなのだろう。 「じゅーん」 「っ……正和さん!?」  頭を洗い終わって泡を流していると後ろから抱き付かれた。驚いて大きな声を出すと、正和さんはわざとらしく耳を押さえるような仕草をする。 「大きな声出さないの」 「ご、ごめん」 「お尻まだ痛む?」  彼は向かい合って抱き締めると、確認するようにお尻を撫でる。 「っ……もう大丈夫」 「そっか、良かった」  そう言って彼は、ふふ、と笑う。 「じゃあ我慢しなくていいね」 「え、我慢ってな……んんっ」  蕾に指を入れられて鼻から抜けるような声がもれ、彼は悪戯な笑みを浮かべた。 「何ってエッチに決まってるでしょ」 「ちょ……芳文さん、いるのに、っはぁ、何、かんがえ……あぁ、ん」 「今いないよ?」 「そういう、問題じゃ……っ」 「じゃあ何?」  クスクス笑って聞きながら、蕾に入れた指を二本に増やして、容赦なく中をかき回してくる。 「入って、きたら、どうすっ……やっ、あっぁ」 「もー、うるさいなあ。純が声出さなきゃ大丈夫だって」 「ふっ、ぅ……あぁ、ん、っく」  彼が三本目の指を入れてイイトコロばかり刺激するから、必死に声を抑えているのに、抑えきれず、クスクス笑われた。 「お風呂って声響いて良いね」 「~~っ」 (むかつく……!)  一生懸命、声を我慢してるのに『無駄な努力だ』と言わんばかりに、ニヤニヤして嫌みのように言ってくる。 「ぁっ、はぁ……ん」  しかし、正和さんに快楽を教え込まれた体は簡単に彼を許してしまい、強請るように腰を揺らした。 * * * 「どうしたの?」 「さあ? 一緒にお風呂入ったら拗ねちゃった」 「さっきまで仲良くエッチまでしてたのに?」 「不思議だよね」 「っ……」 (芳文さんに聴かれてた……! 何この兄弟……もうやだっ……。あーいうのってさぁ、本来暗めの部屋で二人っきりでするものじゃないの?)  恥ずかしげもなく話す二人に自分がおかしいのかと思い始める。 「じゅーん、機嫌なおして」 「ケーキ食べないなら僕食べちゃうよ~」 「……食べる」  ショートケーキの乗った皿を芳文さんが持って行こうとしたので、慌てて阻止すると二人に笑われた。  正和さんの事はむかつくけど、苺は美味しそうだし、ケーキに罪はない。 「子供みたい」 「あー、だからエッチしたら怒られたのか」  本気で言ってるのか、冗談なのかはしらないが、本当むかつく。  苺にフォークを刺して、パクッと一口で食べると、口腔にはクリームの甘さと苺の香りが広がった。生クリームのついた苺は甘くて美味しい。 「純~。ケーキ美味しい?」 「……おいしい」 「じゃあ、こっちおいで。俺のもあげる」  我ながら現金なやつだと思う。  正和さんから離れた席に座っていた俺は、お皿とフォークを持って隣に移動した。

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