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第273話 (正和視点)
芳文と純はいつの間に仲良くなったのか、昨夜仕事から帰ると二人で遊んでいて、今日も楽しそうに二人で出かけていった。
(手芸が好きなのか……可愛いな)
そう言えば純の好きな物をあまり知らないかもしれない。遠くから純を見守っていた頃は、親の借金返済を手伝う為にバイトで忙しくしていたから、たまに友達と遊ぶくらいで趣味が何かまでは知らなかった。
(他にも趣味あるのかなー)
それにしても芳文が俺の周りの人間と仲良くなるのは珍しい。恋人や友人に対して今まで散々嫌がらせをしたりして、近づけないようにしていたのに。
仲良くなった時は、好きになった時くらいで、それ以外で仲良くしてるのを見るのは初めてだ。
(……まさか、純のこと好きになった?)
なんて、一瞬思ったが、それもないだろう。俺の友人と付き合いはしても、恋人をとったりなんて事は今までない。
それに芳文は、好きになった相手に恋人がいた場合一瞬にして冷める。彼自身、人のものに興味がない、とはっきり言っていた。
やっと弟も大人になったのかなー、なんて。それはそれで少し寂しい。
純に意地悪されるのも困るけど、独占欲が強い弟はなんだかんだで可愛いし好きだった。
(……まあ、純が身内と仲良くしてくれるのは嬉しいかな)
なんて、呑気に考えていた。
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