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第276話
「可愛いね。でも今日は触らない」
「っ……やだ、おねがい……触って、ください」
このままだと本当に触ってもらえないと思ってお願いするが彼はクスッと笑う。
「だーめ。とりあえず乳首だけでイってみようか」
そう言って再び胸に手を伸ばす。
「っぁ、そんな……無理っ」
正和さんは弾くように指先を動かしたり、硬くコリコリしたそれを人差し指の腹で優しく撫でたりする。
「っ、ん……ぁ」
乳首だけでイくように正和さんは言った。
しかし、イかせてくれる気があるのかないのか、もどかしい刺激ばかりで、腰をくねらせる。
「はぁ……はぁ、ぁ、っ」
イきたい。触って欲しい。息を荒くして彼の顔を見ると目があった。彼の目元が優しげに少し微笑むのを見て、懇願するように見つめる。
「さわって……は、あっ、くる、しい」
「純はお利口だからここだけでイけるよね」
優しい声音でそう言うが、素面の状態で、こんなもどかしい刺激で、……無理だ。
「むり、んっ……でき、な」
「じゃあ、今日はずっとこのままだね」
「そんな……や、おねがい……っ」
イきたい。出したい。足りない。もっとして。
熱い息を零しながら体を捩れば、縄ギチギチと音を立てた。
「はぁ……もっと、強く、こすって……」
「どうして?」
「これ、じゃ、イけないから……っ、おねがい、します……」
「でも強くしてもここだけじゃイけないんでしょ?」
「っ……ちくび、だけで、ぁ、イくから……イきたい、から……」
どう言うのが正解なのか分からず白濁とした頭の中で必死に言葉をかき集める。
「乳首いじめて欲しいの?」
「俺の、やらしい乳首、いじめて……おねが、イかせてっ……いい子に、するからぁ」
彼はクスッと笑って乳首を抓り、親指と人差し指でグニグニと捏ねた。押したり、引っ張ったり、潰したり、爪でカリッと引っ掻いたりする。
「あっぁ、んんっ」
優しくそっと撫でたかと思えば、摘まんでクリクリと捻る。イきそうでイけない。あと少し。もう少しだけ強い刺激があればイけそうなのに。足りない。
「そんなに腰振って……俺に見せてくれてるの?」
「は、ぅ、違っ……そんなん、じゃ、ぁ……っ」
せっかく後少しでイけそうだったのに、触るのを止められて行き場をなくした欲望が渦巻く。正和さんは顔を近づけて耳元で「違わないでしょ」と囁いた。
少しだけトーンを落とした低い声は耳によく響く。
「やらしい俺をもっと見てください、でしょ」
(~~っ、変態……!)
「じゅーん」
「……やらしい、俺を……みて、ください」
顔が熱い。羞恥を押し殺して、一生懸命そう言ったのに。
「なーに? 聞こえない」
なんて、嫌みのようにニコニコしながら返された。
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