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第288話

「ごめんね。正攻法でいっても俺の入る隙はなさそうだから」  痛い事はしないよ、と言って頬にキスを落とされた。 「だめ、だめっ……こんなの、絶対怒られる、から」 「……でも純くんは俺に言い寄られてたのに、兄さんに言わなかったんでしょ?」  そう言って、ピタリと手を止め俺の目をじーっと見つめる。 「それって浮気だと受け取られてもおかしくないよね」 「え……?」  芳文の言ってる事がすぐには理解できなくて固まると、パジャマのボタンを片手で外しながら話をする。 「キスして、告白されたのにデートして、兄さんには黙ってたんだもんね? それって浮気じゃない?」 「違、う……」  動揺して瞳が揺れる。 「だから、今更俺のこと拒否しても遅いよ」  そう言って頬を優しく撫でて、固まっている俺に軽く触れるだけのキスをした。ふーっと耳に息を吹きかけられて、頭を左右に振る。 「純くんのこと責めたいわけじゃないからそんな顔しないで?」 「俺……そんなつもり……っ」 「大丈夫。兄さんには今まで通り黙ってれば良いよ」  親指で乳首を撫でられて身じろぐと、芳文さんはにっこり笑ってそう言った。 「だめ……やめてください」 「ピンクでぷっくりしてて可愛いね」  そう言って乳首をチロチロと舐め、下着の中に手を入れてくる。 「んっ、はぁ……あうう」  半勃ちになったそこを掴まれて、緩急をつけて上下に扱かれ、乳首をねっとり舐められれば、体はゾクゾク震えた。 「や、だめ……離してくださ……」  ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めながら、追い上げるように擦られる。 「は、ぁ……ぅ、だめ、だめっ」 「ここ、気持ちいいの?」 「や、っ、あ……あぁっ」  弱い所を擦られて目の前が一瞬霞む。心臓がドクドクと力強く脈打って、息を荒くし、呆気なく精を吐き出した。  絶頂を迎えて脱力すると、押さえられていた手が離されるが、それで終わる事はなく下着ごとパジャマを下ろされる。 「芳文さんっ……やめてください」  一度出したことで冷静になり慌てて抵抗を強める。だが、あっという間に押さえつけられて、脱がされたズボンで手を一纏めに縛られてしまった。 「っ……芳文、さん……」 「これで抵抗できないね」 「や、解いてください……だめ、こんな……」 (どうしたら……どうすれば……)  足の間に座る芳文さんは、俺の腹部を上から下に向かって撫でる。その手付きは優しく、縛って無理やりするような人とは思えない。 「純くんは悪くないよ。縛られちゃったらしょうがないでしょ?」  彼は足を持ち上げて、太ももへ愛おしそうに口付ける。 「ね、力抜いて?」  そう言った芳文さんの顔は、少しだけ悲しそうに見えた。

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