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第290話

 蕾を撫でてくる芳文さんに焦りを感じて暴れると、ベッドの下にしまってある縄で、手をベッドヘッドに繋がれてしまった。  そんな状態ではどんな抵抗をしても敵うはずもなく、彼の起こす快楽の波に淡々と呑まれていく。 「はぅ、あっぁ……んっ」  内壁を擦る三本の指。優しく押すような揉むような手付き。それは初めての感覚で。  同時に、唾液で濡らした芳文さんの手に、自身の先端を捏ね回されれば、理性なんてほとんど残らなかった。気持ち良すぎて甘い声が上がり、体の力も抜ける。  自分がどれだけ乱れているのかも気付かない程、頭も体も蕩けきって何も考えられない。 「あっぁ……いく、出ちゃ」 「だーめ」 「あっ、ぅ……おねがい、おねがい……」  経験した事のない気持ち良すぎる愛撫をするのに、もう何度も寸止めされて、おかしくなりそう。何でも良いから早く。早く体の熱をどうにかして欲しい。  焦れて火照った体は小刻みに震え、荒い吐息も熱を帯びる。 「ここ、入れても良い? もっと気持ちよくしてあげるよ」  そう言って、指を回転させ中をグリっと刺激する。 「はっ、あぁ……だ、め……やだ、あっ、あぁ、気持ちくして」 「じゃあ入れても良いの?」 「だめ……あっぁ、あっ……っ」  再び先端を擦られて、イきそうになると寸止めされて。鈴口を舌でチロチロと舐められて、全身に電気が走ったみたいに痺れる。  気持ちいい。イきたい。もっとして。  腰が揺れて、イかせてくれ、と身体が強請る。芳文さんは両手で下半身に触れたまま、俺の横に肘をついて顔を近づけた。  ちゅるりと舌が耳に入ってきて、弱い所を刺激され犯される。自身の先端をコネコネと撫で回されて、追い上げるように刺激して。「入れても良い?」と囁かれたら、頭の中は真っ白になった。 「あっぁ、あぅ、い、ぃ、あっ……い、から、おねがっ、いかせて……あぁっ、いれて、いぃからっ」  僅かに残っていた最後の理性も手放すと、芳文さんは手を止めて、指を引き抜いた。そのまま俺に覆い被さって、今まで指が入っていた所に、屹立した熱いものをあてがう。  唇が重なって舌が入ってくるのと同時に、下も芳文さんのものが入ってきた。飴を転がすように舌を絡め取られ、深く深く口付ける。ゆっくり抽挿を開始して、内壁を擦られれば、早くイきたくて、誘うように腰が揺れた。 「あっぁ、ん……はぁっぁ」 「……好きだよ。大好き」  耳元で囁いて、腕の拘束を解いてくれた。溶けた思考の中に彼の優しい声が響く。なんだか心地良くて、ふわふわして、自分が今どこにいるのかも分からなくなる。 「純くん、好き……っ、大好き。ね、気持ちいい?」  後ろを突かれながら、何度も深い口付けを交わして、前も絶妙なタッチで擦られる。気持ちいい。  体中がゾクゾク震えて、彼の熱を受け止める。  自分本位ではないセックス。芳文さんは俺の事を気遣って、丁寧に接してくれる。こんなに優しく抱かれた事はないな、なんて、霞がかった頭の片隅で思いながら、朦朧と背中に手を回す。

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