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第320話
芳文さんは、嫌だ、嫌だ、と首を左右に振って拒むが、無反応だった彼のものは少しずつ勃ち上がり始めている。
「じゅん、くん、やめっ……はぁ、ぅ」
芳文さんの中に指を二本入れて、いつも正和さんにされるように抜き差しすれば、甘い声を上げて腰を浮かせた。
「純、もういいよ」
名を呼ばれると同時に、ペリペリと袋を開けるような音が後ろから聞こえてきて、振り返る。正和さんは持っていたゴムを俺の中心部に被せて、顎でクイッと芳文さんを指した。
「ほら、入れてあげなよ」
「っ……」
(……そんな、できない)
でもそんなことを口に出せば彼に捨てられてしまう。やるしかない。
薬のおかげで、いつも以上に大きくなって、興奮しているのは、ある意味良かったのかもしれない。素面だったら絶対にできなかったと思うから。
俺と同じように、何かを考えている様子だった芳文さんも、腹を括ったのか静かに口を開いた。
「……純くん、大丈夫。俺は大丈夫だから」
そう言った芳文さんは足を腰に絡めてきて、そのままグッと引き寄せられる。
「っ、芳文さんっ」
そして、正和さんが「やれ」と言ったのに、彼は何故か舌打ちした。
「ほら、入れて?」
そう言って腰に絡めた脚にぎゅっと力を入れてくる。
「……やらないなら捨てられちゃうよ? いいの? ……それとも俺と付き合う?」
なんて、煽るように言っているが、芳文さんは今にも泣き出しそうな顔だ。きっと、入れられるなんて嫌なはずだし、正和さんと別れれば良いと思ってる。
それなのに、決心できない俺を促してくれる彼はやっぱり優しい。
(……ごめんなさい)
心の内で謝罪の言葉を述べる。それが誰に向けて言った言葉なのかは、自分でもよく分からなかった。
ごくりと喉を鳴らして、自身を握って芳文さんの蕾に押し当て、ベッドに手をつく。
「く、っ……はっ、はぁ、うっ……痛、ぃ……」
そのままグッと腰を押し進めれば、芳文さんは苦しそうな声を上げて、顔を逸らした。だが、先端が入ってしまえば、後は吸い寄せられるように彼の中に呑み込まれる。
中は熱くて、ぎゅうぎゅう締め付けられて、手で扱くのとは比べものにならないくらい気持ち良かった。媚薬のせいもあるかもしれないが、すぐにでも達してしまいそうで、彼の中に入れたまま動けない。
「ん……はぁ、はぁ」
荒くなった呼吸を整えるように深呼吸して、昂りを落ち着ける。
「……純が動いてあげないと芳文つらいよ?」
そう言って、正和さんは俺の腰を掴むと後ろに引いた。
「正和さ、待っ、あっぁ……っ」
一度動き出したら止まらなかった。腰が勝手に揺れて快感を追い求める。
「ぅっ、あっ、じゅ、くん……もっと、ゆっく、あぁ、ぅ」
「はぁ、んっ、ん……だめ、だめ、あっあぁ」
ドクン、ドクン、とゴム越しに芳文さんの中に精を放つが、それでも尚、熱が治まることはなかった。
「やっ、純く、っ……まって、あ、あぁ」
「ねえ、純。誰が好き? 純がはっきりした態度取らなかったのもいけないと思うんだけど」
正和さんはそう言いながら、後ろから俺の胸に手を伸ばす。
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