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第325話
「……正和、さま?」
「ふふ、お利口な子は好きだよ」
俺の頭を撫でた後、彼は屈めていた体を起こして、後方に両手をつき、見下すような姿勢をとる。
「じゃあ自分で後ろほぐしてごらん」
そう言ってベッドに置いてあった箱からローションを取り出し、俺の手元に軽く投げた。俺はキャッチしたそれをしばし見つめて、蓋を開ける。
正和さんと自分しかいない今、昨日と比べれば全然ましで、それほど抵抗はない。
「っ、ぁ……ぅ」
ローションで濡らした指をゆっくり中に入れ、探るように恐る恐る動かす。こうして何回か自分でさせられた事はあるが、何度やっても慣れない。
「ほら、もっと足開いて」
正和さんの声に顔を上げるが、その指示に頬がカァッと赤くなって、再び俯く。そろりと足を広げて体勢変えれば、彼は楽しそうにスーッと目を細めた。
「ん、あっ……はぁ、っ」
彼に見られているのかと思うといつもより体が火照って、奥が疼く。指を二本に増やして動かせば、静かな部屋に厭らしい水音が響いて、尚のこと恥ずかしくなった。
「あっぁ、う」
指を三本に増やして夢中でほぐしていたら、敏感な所を指が掠めて、甘い声をあげる。
「……よさそうだね」
立ち上がった彼が部屋の隅に歩いていくのを目で追う。何かが置いてある所へ行くと、こちらを向いて手招きした。
「おいで」
それが何なのかは、布で覆われていて知ることはできないが、自分にとって良くないものなのは確かだ。
「じゅーん」
「っ……」
甘い声で、そんな風に優しく彼に呼ばれたら逆らえない。今そんな顔をするのはずるい。
「ふふ、いい子」
彼は俺の頭を撫でて、紺色の布に手をかける。はらりと捲って出てきた物は、大半が木でできていて、椅子のようにも見えるが、椅子ではない。男性器を模したような突起物がついていて、どう使うのかは一目瞭然だった。
「三角木馬って知ってる? 昔の拷問器具」
拷問、と聞いて背筋がゾクリと冷える。
「座る所が鋭く尖ってて、足に重りをつけたりして責める道具だよ。向こうに本物もあるけどね、この木馬は尖ってないから痛くはないと思う」
そう言ってニコリと笑った彼の目は冷めていて、怒りを秘めているのが窺い知れた。
彼は「乗って?」と首を少し傾げて目で促す。
「っ……」
先ほど『本物』の拷問器具があると言われたのが、心に残っていて、彼の気が変わらないうちに、目の前の木馬に跨がった。もし本物に乗せられたら、なんて、想像しただけでも痛い。
恐る恐る男性器のようなそれを蕾にあてると、それは思った程硬くはなかった。正和さんがよく使うバイブなどの玩具と同じ感触だ。
「ぅ、あ……ああっう」
ゆっくり腰を落としていたら、彼に肩を強く押されて一気にソレを呑み込む。正和さんのものより一回り大きくて、若干の痛みに、足の指を無意識にぎゅっと閉じた。
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