326 / 494
第326話
「はぁ、っ、あっ」
少し腰を浮かして体勢を変えようとするが、足首を掴まれて後ろに上げられる。そのまま太ももと一緒に縄で縛られて、反対側も同じように拘束されれば、足を床につける事はできなくなった。
「あっ、ぁう、やだ、正和さんっ、や」
少しでも動くと今まで触れられた事のない所で玩具が擦れて、背を仰け反らせる。腕まで後ろで縛られたら、どうする事もできない。
「純」
冷たい声音で名を呼ばれて、ビクリと肩を震わせ、彼の顔を見上げる。しかし、中の玩具がヴヴヴヴヴ……と振動し始めれば、身を屈めて堪らず声をあげた。
「ひぁ、う、あっぁ、やだ、やだ、ああっ」
「今なんて呼んだ?」
「あっ、ぅ、ごめんなさっ、正和、さまっ」
「違うよね? なんて呼んだの」
顎をクイッと上げられれば、体も僅かに仰け反って、中の玩具が弱い所にあたる。じん……と指先まで痺れるような快感が伝って、涙がじわりと浮かんだ。
「あぁっ、正和、さんって、あっぁ、だめ、やっ」
「……次同じミスしたらお仕置きだからね」
「わかった、っ……わかった、からぁ、ごめ、なさ……も、あぁ」
彼は俺から離れると、目隠しを持って戻ってくる。そのことに不安を覚え、彼の名を呼ぼうとするが、そのまま視界が閉ざされてしまう。
「やだ、っ、あっぅ……正和さま、とっ、てくださっ、はぅ」
背中を棒のような物でなぞられて、再び仰け反れば、ビリリとした快感が電気が走ったように全身を巡った。ぎゅっと握っていた手を開いて、体をピクピクと震わせる。
「あぁああん、っ、だめ、止め、あっあぁ」
「……ドライでイっちゃったね」
そう言って俺の中心部を優しく握り、先走りで濡れた先端をヒヤリとした冷たい何かで撫でた。そして、それが鈴口に押し当てられて、中に入ってくる。
「あ、あ、それやだ、それやだっ、あっぁ、ああう……っ」
「全部入った。これで純は出せないね」
「も、くるし、あっ、イキたい、イかせてくださ、っ」
イきたくて、つい腰を揺らしてしまうが、その行為は自分を苦しめるだけだった。絶頂の余韻で体はビクビクと揺れ、目の前はチカチカするのに、玩具は振動を続けていて、おかしくなりそうだ。
「あっ、いく、ぃく、イっちゃ、あっあぁ、ん゛ーー!」
目隠しをされていると彼がいるのかいないのかさえ分からなくて不安になる。このまま放置されたら……なんて、考えただけでも恐ろしい。
「正和、さま、あっぅ、おかしく、なる、やっ、もう」
何度も絶頂を迎えているのに、射精する事はできなくて、次第に意識がぼんやりしてくる。木馬の上で腰を揺らして、何度も強請るが、その願いを叶えてくれる事はなかった。
「出したい?」
突然聞こえてきた声に驚きつつ、首を縦に振る。
「ぁ、だし、たい……っ、抜いてくださ、あっぁう、っ」
「……ふふ、ごめんね。ちょっとやりすぎたかな」
そう言って、彼が俺の中心部を握り、プラグを抜き始めたことに安堵して、体の力も少し抜けた。ゆっくり焦らすように抜かれれば、腰を突き出すような姿勢で、自然と声が漏れる。
「あ、あ、あ……」
抜いてもらえる、そう思ったのに、途中でズプっと押し戻されて、悲鳴のような甲高い声をあげた。
「なーんて。許すわけないでしょ」
「ああっ、ごめ、なさ……はぁっ、ごめんな、さい」
体中がゾクゾクして、気持ち良すぎて苦しい。行き過ぎた快感はもはや苦痛で、涙を零して頭を左右に振った。
「ごめんなさっ、あっぅ、ぃく、いぐ、またイっちゃ、あぁああん、はぁっ」
びくん、びくん、と腰を震わせて絶頂を迎えると同時に、体から完全に力が抜けて、俺の意識もそこで途絶えた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!




