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第336話
(こんな所でなにを……?)
彼の様子を窺いながら、ニットをするりと脱いで畳に置く。シャツも脱ぎ、上半身裸になった所で正和さんの顔をチラッと見れば、彼はお酒を煽りながら、スーッと細めた目で俺のことをじっとみた。彼の威圧感に負けて、震える手でパンツと下着も下ろして、手で股間を隠す。
(恥ずかしい……っ)
もし、人が入ってきたら、という緊張感に胸がドキドキと早鐘を打つ。
「ここに仰向けで転がって」
正和さんは自分のコートを畳の上に広げると、その上をぽんぽんと叩いた。指示通り仰向けで横になれば、俺の服で目隠しされて、手首も頭上で拘束される。
「……ひっ」
何をされるのかとドキドキしていたら、ヒヤリ、と体に触れた『何か』に思わず声を上げる。
「っ、ぁ……なに」
何度もその感触が体の上に広がって、不安に思いながら彼に尋ねるが、答えは返ってこない。
(乳首、すーすーして……薬?)
何が起きているのか分からなくて、瞳にじわりと涙を溜めて、体を強張らせたまま手をぎゅっと握りしめる。
「……できたよ」
しばらくして、するりと目隠しが外されると、外界の眩しさに思わず目を細める。視線を下に向ければ、体の上には葉に乗せた刺身が盛り付けられているのが目に映った。乳首に塗られたのは山葵なのだろう。異様な光景に戸惑って言葉を失う。
「美味しい酒が飲みたいな」
「え……」
呆然と彼の動きを見ていると、彼は日本酒の入った瓶を手に取って、俺の太ももを軽く押さえた。
「脚閉じて。……そう。俺のコート汚さないでね」
「ん……冷たっ」
冷たい酒が太ももの間に注がれて、キュッと身を縮こまらせる。さらに、中で玩具がヴヴヴヴヴ……と振動し始めるものだからたまらない。体をびくびく跳ねさせて、甘い吐息を零しながら身を捩る。
「あっ、あぅう……っ」
「こぼしたら怒るからね」
彼の冷たい声音に恐怖して、酒を零さないように足をぎゅっと閉じる。だが、そうすると後ろに入った玩具の振動を強く感じてしまって背中を浮かせた。
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