337 / 494
第337話
「正和、さまっ……正和さまぁ……あっぁう、だめっだめ、ゆる、して」
動けば盛り付けられた料理や酒が零れてしまいそうで、必死に耐えるのにも限界がある。
しかし、彼の言いつけは絶対だ。できるだけ動かないように、震える体を抑え込めば、溜まっていた涙がぽろぽろと頬を伝った。
正和さんは太ももを舌でツーッとなぞって、玉を転がすように舐めたあと、酒を啜る。自身の先端を軽く舐められれば、快楽の波がぞくぞくと全身を駆け巡って、思わず声を張り上げた。
「ぁっ、あぁ……とめ、て、あっ」
「あまり大きい声出すと周りに聞こえちゃうよ」
「っ、ぅ……ぁっぁぁぅ」
彼は流れるような所作で、箸を手に取り、持ち替えると、それを料理ではなく胸の方へと近づける。次の瞬間、俺の乳首はその箸にキュッと摘ままれて、体をぞくりと震わせた。
はあはあと熱い吐息まじりの喘ぎ声が口から零れる。クニクニと左右に揺らしたり、強弱をつけて引っ張ったりされれば、そこはぷっくりと赤く色付いた。
「痛っ……」
一際強く引っ張られると、箸がつるっと抜けて、痛みと共に、じんじんと痺れるような何とも言い難い感覚を残していく。
「ああ、間違えちゃった」
彼はそう言いながら、意地悪げな笑みを浮かべた。彼の箸から逃げるように体をびくりと震わせるが、今度は刺身を取って普通に口へ運ぶ。
「ぁっ、やだ……はぅ、やめっ……」
しばらくすると、再び箸が胸に伸びてきて、反射的に胸を引く。だが、彼は容易くそこを捉えてしまう。悪戯に揺すられれば、山葵のついたそこは少しヒリヒリして、耐えきれず体を捩った。
「こーら、ワサビちょうだい」
太ももを軽く叩かれて、身を強ばらせる。
「ああうっ、ごめんな、さい、っ……とめてっ、はぁ、中のやつ、とめて……っ」
「そのお願いは聞けないな」
「あっ、だって、零れちゃ、う」
腰がガクガク揺れるのを抑えられなくて、涙を零しながら懇願するが、彼は聞き入れてくれない。酒を零さないように一生懸命脚を閉じて、喘ぎまじりの震える声で何度も願う。
「じゃあ、早くカラにしたらいいんじゃない?」
(そんなこと言ったって、どうしたらっ!)
酒だけでも早く飲んでもらわなければ、彼のコートに零れてしまいそうで気が気でない。
「あっあっ、だ、め……のんでっ、のんでください……っ」
「……違うでしょ。おねだりする時はどうするの?」
(どうするって……そんなの、知らないし……)
思わず唇を尖らせて眉を顰める。考えてみても、どう言うのが正解なのか、全く見当も付かないのだ。
しかし、彼は俺の態度が気に入らなかったのか、目をスーッと細めると、玩具の振動を変える。ヴッヴッヴッ……と断続的な刺激をもたらすそれに、腰をびくん、びくん、と揺らして、唇をぎゅっと噛み締めた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!




