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第341話
僅かに開いた隙間から光が少しもれるが、彼はアイマスクの位置を整えて、視界は完全に閉ざされた。
「どっちが俺のか当ててね」
「へ……?」
「一つは俺ので型取ったんだ」
そう言って、ディルドらしき物で左右それぞれの頬を撫でる。それが頬から離れていくと、今度はローションの蓋を開ける音がして、身をきゅっと固くした。
次の瞬間、冷たく濡れたそれが蕾に押し当てられて、ぐちゅんと一気に挿入ってくる。中に入ったままのローターが、最奥をずくんと突いて声にならない悲鳴をあげた。体を弓なりにして、足の指をきゅっと閉じる。口をはくはくと震えさせ、唾液を零す俺をよそに、彼はディルドをずにゅっ、ずにゅっ、と出入りさせた。
「はっ、ぁ、あっやあっあっ」
目の前がチカチカしてどうにかなりそうなのに、彼は容赦なく責め立てる。
「あぁあっ、こ、こっち……こっちが、正和さ、の……あぁっ」
間違いない。感触こそ違うが、この大きさと形は正和さんのソレと同じだ。
それなのに、彼は意地悪く聞き返してくる。
「ふーん? もう一つも試してからにしたら?」
ディルドを引き抜かれて、体をぴくぴく震わせると、休む間もなく、もう一つのディルドが入れられた。先ほどより少し小さいこれは、やはり正和さんのものとは違う。
「あふ、あっ……ちが、う、こっちじゃ、あんんっ」
「本当に?」
「だって、こっち小さっ……あぁっ」
「小さい?」
彼の声がワントーン下がったのを聞いて、背筋をぞくりと震わせる。もしかして本当に間違ったのだろうか。最近、正和さんとちゃんとしていなかったから、絶対的な自信はない。
「ごめん、なさぃ……あぁあっ」
「もう一度チャンスあげるから、よく感じて」
一気に引き抜かれると、再び大きい方のディルドが、ずぷんっと入ってきて、腰をがくがく震わせる。振動したままのローターが、さらに奥を突いて、いやいやと頭を振った。
「ひ、ぃ、んぁああ……っ、~~っ」
ぎゅっと閉じた瞼の裏がちかちかして、びくん、びくん、と腰を揺らす。絶頂を迎えたばかりで砕けそうな腰骨の奥を、ずちゅっずちゅっと責められて、次第に何が何だか分からなくなってくる。
「あぁああ……っ、もっ、もう」
「うん?」
「いれな……でっ、ひ、ぁ、あぁんっ」
じんじんと熱を持った内壁が、さらなる熱を求めるのに対し、拘束された男根が苦しくて、もうやめてくれと訴える。
「はっ、あ……っ、あっ、うあぁあ……っ」
「ほら、どっち?」
「わ、かん、な……っ、あ、あんんん……っ」
普通なら、もう一度チャンスをくれるほど彼が甘くないことくらい考え付くのに、ぐずぐずに蕩かされた頭では、疑念を抱くこともなかった。
「あっあぁああ、も、し…ぬっ、やっああっ、あぁ……っ」
許容量を超えた快感に、意識が一瞬飛ぶが、彼がそれを許すはずもなく。一段と強い刺激に目を覚ます。
「愛してるよ、純」
「あっ、な…にっ、あぁああっ」
朦朧とした意識の中、ぎゅっと握られた右手を弱弱しく握り返すが、彼が言葉を返すことはなかった。
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