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第393話

「正和さんは、そうじゃないって分かってるけど、けど……っ、そんなだから、誰かに頼るとか慣れてなくて、どうしたらいいかわかんなくて……っ、~~っ、ごめんなさい」  唇をぎゅっと噛んで目蓋をきつく閉じれば、彼は深く息を吐いてから、包み込んでいた俺の手をぎゅっと握り締めた。 「つらかったね。……話してくれてありがとう」  そう言って、俺の背中に腕を回して、優しく抱きしめてくれる。正和さんは泣き続ける俺を、何も言わずに宥めるように背中をさすってくれて、俺が落ち着くまでそうしてくれた。 「でも俺は、純のこと迷惑だなんて思わないし、拒絶もしない。俺は頼ってくれた方が嬉しい」 「ひっく、うぅ……っ」 「もっと甘えて。俺のこと頼って。何かあったら助けを呼んでよ」  体を少し離して、俺の目をジッと見つめてくる正和さんは、真剣な表情でなんだかドキドキしてしまう。 「そんな、こと……急に言われても……」 「俺のこと好き?」 「……すき」 「じゃあ、できるよね」  まるで子供に諭すみたいな口調でそう言うけれど、今までの性格はそう簡単には変えられない。 「だけど、どうしたらいいか……わかんないし」 「少しずつでいいから。困ったことがあったら頼って。もっと俺を信頼して」 「……信頼は、してる」  してるつもりだ。けれど、やっぱり心のどこかで怖いと思ってしまう自分がいる。そんな俺の心を見透かしたように、彼は目をスーッと細めて俺を見つめた。 「俺は純を拒絶したりしないよ」 「――――うん」  すぐには無理かもしれないけれど、直していきたい。甘えるのは少し照れくさいけど、これ以上正和さんを不安にさせたくないし、本当は俺もずっと甘えたかったんだと思う。 「――――でも、この前はごめんね」 「この前って……?」 「ベッドで、純に酷い態度とっちゃったよね。もう二度とあんなことしないから許して」 「あれは……だって、俺が悪いから、しばらくしたくないのも……当然、だし」 「ごめんね」 「……うん」  再びぎゅっと抱きしめられて、俺も正和さんの背中にそっと腕を回す。嫌いな香水の香りがするけれど、彼の胸は温かくて、安心できて、心地いい。
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