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第394話
「俺の方が年上なんだから、子供らしく甘えてたらいいんだよ」
「……でも正和さん中身子供だし」
「ふーん。そういうこと言うんだ?」
「だ、だって……大人げないことばっかするじゃん」
「へえ。じゃあ、浮気してるって勝手に決めつけて、信じてくれなかった純にはお仕置きしないとね」
お仕置き、と聞いて、体がぞくりと震える。普段なら嫌でしかないはずなのに、正和さんに触ってもらえるんだと思ったら、期待で瞳が濡れた。
それなのに。
「可愛い。でも、期待してるようなことはしないよ。お仕置きはしばらくエッチ禁止」
「っ……」
やっぱり、したくないんだ……。そう思っていたら、彼がクスクス笑って俺の頬を撫でた。
「来月までのお楽しみ。旅行まで悶々としてるといいよ」
「らい、げつ……」
「やりたい盛りの高校生には一番効くでしょ? その代わり結婚式終わったらたくさん可愛がってあげる」
ニヤリと笑ってそう言う正和さんの言葉に、カアアアと顔を赤く染めて視線を逸らす。春休みまであと一ヶ月もあって、我慢できる気がしない。
「ひとりでするのも……?」
「うーん……いい機会だから一人でするやり方覚えるといいよ」
「やり方ってそんなの……別に今まで通り……」
「そうだね。ふふ、まあ頑張って」
何か裏があるんだろうか。含みのある彼の言葉に、不安になりながら考えるけれど、俺には分からなかった。
「正和さんは……しなくても大丈夫なの?」
「なーに? 疑ってるの?」
控えめに尋ねれば、彼はニヤニヤしながら聞き返してくる。
そりゃ、俺だって疑いたくないけど、あれだけ性欲の強い彼が一ヶ月も我慢できるとは思えない。その間に浮気じゃないにしろ、そういう店に行っちゃうんじゃないかって考えたら、不安でたまらなかった。
「最近忙しいせいか、そういう気があんまり起きないんだよね。だから大丈夫」
「そっ、か……」
それってやっぱり俺があんなことをしたから、そういう気が起きないんだろうか。彼は仕事のせいにしてるけど、きっと気を遣ってそう言ってるんだろう。
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