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第412話

「こういうタイプがお好みですか?」 「はい。派手なのはあまり……」 「では似たようなタイプのリングをお持ちしますね」  店員はにっこり笑うと、指輪を乗せたトレイを持って部屋を出て行った。 「他の店も見に行ってみる?」  正和さんは俺を気遣ってかそう言ってくれるけど、指輪のデザインが気に入らないとか、店が嫌だとかそういうことではないのだ。 「ううん。ここでいいけど…………正和さんと選びたい」 「選んでるじゃん」 「……正和さんもつけてみてよ。同じのつけるんだし、一緒に決めたい」 「ふふ、そうだね。ごめん」  ひとりで選んでいるのが寂しくて、俯きながら本音を告げれば、正和さんは優しく笑って俺の頭を撫でてくれる。  それと同時に店員が部屋に戻ってきて、机の上に指輪を乗せたトレイが置かれた。先ほどとは違ってシンプルな指輪ばかりで、「結婚指輪」と聞いてイメージするタイプのデザインだ。  斜めにカッティングされた綺麗な形のそれに惹かれて指につけてみる。けれど、少しゴツゴツした感触でつけ心地はあまり良くなかった。 「うーん……これとか、これなら仕事でもいいかな」  控えめなデザインのものと、デザインの入っていないものを指差せば、正和さんは上下にミル打ちされたリングを手にとって自分の指にはめる。 「そうだね、これなら違和感ないしいいかも」  その言葉を聞いて、同じ指輪をつけてみると、スッと指に馴染んで良い感じだった。 「これにする?」 「純はこれでいいの?」 「うん」  正直、正和さんと一緒のだったらどれでも良い。だけど、ただの銀色の輪っかと違って少しだけお洒落だし、つけている感じがしないくらい指に馴染んでいた。 「じゃあ、これにしようか」  改めてサイズの確認をした後、指輪を外して店員に渡す。 「リングの内側に、お名前やお日にちを入れることもできますが、どうされますか?」

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