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第419話
「~~っ、いじわるやだ」
「意地悪なんてしてないけどなぁ。純が言ったんじゃん」
「そうだけど……!」
「ふふ、俺も純のこと愛してるよ」
そう言った正和さんは涼しい顔で建物の中に入るけど、俺はさらに顔が火照ってしまい、しばらく顔を上げられなかった。
* * *
日曜日はテスト勉強に励み、月曜日は普段通り学校へ行って、放課後も一生懸命勉強した。
そうして迎えた学年末テスト初日は、満点まではいかないかもしれないけれど、それなりに手応えはあった。明日の数学を終えるまでは気を抜けないが、お仕置きはなんとか免れそうだ。
テスト期間は三日間で、期間中はテストが終わったらすぐに下校なので、午前中には家に帰れる。今日もたくさん勉強できるし、最終日は得意な古典と地学だからなんとかなるだろう。
「ただいまー」
「おかえり。どうだった?」
「んー、まあまあかな」
「じゃあ明日も頑張らなきゃね」
「うん……今日も数学教えて」
「いいよ」
正和さんが作った美味しいカツ丼を食べたら少し眠くなったけど、歯磨きして顔を洗ったらなんとか我慢できそうだった。
しかし、勉強道具を持って彼の部屋に行くと、部屋がいつもよりも暖かくて再び頭がぼーっとしてくる。
「お昼寝する?」
クスクス笑った正和さんに揶揄うように言われて、頭をぶんぶん振った。
せっかく時間を割いて教えてくれるというのに、この態度では彼に申し訳ない。気合いを入れ直して椅子を引くと、正和さんは楽しそうに笑って、俺の耳を撫でてきた。
「……っ」
途端に、ぞくん……と体が震えて、じわじわと下腹部に熱が溜まる。
「なに、したの」
「何が?」
「だ、って……」
耳を触られただけで、全身がぞくぞくしてこんなになるなんて、いくら欲求不満だからっておかしい。
だけど、薬の感じとも違うし、そもそもあんなことがあった後では使わないだろうし、初めての感覚に戸惑って、火照った体を隠すように前屈みになる。
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