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第420話

「大丈夫?」  なんて、気遣うように聞いてくるけれど、顔を覗き込んできた正和さんは楽しそうに目を細めていて白々しい。  かあっと赤くなった顔で彼を睨みつければ、彼はニヤリと口角を上げて意地悪な顔をした。 「ふふ、効果あったみたいだね」 「やっぱり、薬……!」 「違うよ」  正和さんはクスクス笑ってそう言うと、再び俺の耳朶を撫でて、そのままふーっと息を吹きかけてくる。ぞくぞくっと痺れるような感覚に、びくんと肩を竦めれば、彼は楽しそうに笑って、そこをしつこく撫で回した。 「ぁ……っ」  「ほらね。いつもえっちの前と、してる最中に耳たぶ弄ってるでしょ」 「……?」  そう言われてみれば、いつも触られているような気もするが、だからなんなのだろう。 「ここ、純の発情スイッチにしちゃった」 「は……? 発情、すいっち?」 「気づかなかった? 純、耳弱いから早かったね」  とても満足そうな顔で話す正和さんの言ってることが、半分くらい理解できなくて固まる。  時折俺の耳を触っては「なんともない?」と聞いてきてたのも、これのことだったのだろうか。 「――ほんとに何もしてないの?」 「耳触っただけだよ」 「そんな……」  ということは、何かが触れた拍子でムラッときたり、自分で触ったりしてもそんなことになってしまうのかと考えて、耳へと伸ばしかけた手をピタリと止めた。 「もう少し訓練続けたら、媚薬と同じくらい効果が出たりして」  正和さんは嬉しそうに話しながら俺の腰に手を回すと、もう片方の手を股間に伸ばし、そこを優しく揉んでくる。 「あっ、や、やだ」 「嫌なの?」 「ぅ、だって……できないん、でしょ……っ」 「ふふ。じゃあ、スローセックスしようか」 「スロー、セックス……?」 「簡単に言うと、何日もかけてゆっくりするセックス」 「何日もって……っ」  思わず想像してしまって顔がかあっと熱くなる。

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