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第1章 2

 薄暗い檻のような部屋の中。ひんやりとした床へ、扉のない入口から光がぼんやり射し込んでいる。  室内には少年たちの首輪から伸びる鎖の音だけが、じゃらじゃらと大きく響いており、その鎖は床に飛び出た杭のようなものに繋がれていた。頑丈にできたそれは自分で外すことはできない。  そんな場所に、コツ、コツ、と誰かが歩いてくる音がして、一人の少年のもとに、二人の話し声が近づいてくる。マスターともう一人は聞いたことのない男性の声。  また「ソト」の人かな、と思いながら、少年はゆっくり体を起こして迎える準備をする。 「来なさい、ソラ」  マスターが部屋へ入ってきて、いつもより低めの声で言うが、その隣にいる男性の雰囲気が怖くて、ソラと呼ばれた少年は近づけなかった。  すると、先ほどよりも強い口調でソラの名を呼ぶ。 「ソラ」  本当は行きたくないが、マスターに呼ばれてしまっては仕方がない。後で怒られるのも怖いので、ソラは恐る恐る二人に近づく。  マスターやソトの人たちは足だけで立つが、ソラにはそれが許されていなかった。したがって、四つ足で歩くことになるのだが、じゃらじゃらと鎖を引きずる音が大きく響く。 「この子はいくつ?」  目の前まで行けば、マスターが優しく微笑んだので、ソラは安心して少しだけ緊張が解けたようだ。 「十六になったばかりですよ」  けれど、マスターの隣に居る男性が突然手をソラの方へ動かしたから、ソラは肩をビクッと揺らして身を縮める。その男は一瞬ためらったが、その場にしゃがんで、怖がって震えているソラの頬を優しく撫でた。

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