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「ふぁ……」  車で揺られていると次第に眠気がやってきて、うとうとしていると優しく声をかけられる。 「寝てていいよ」  その言葉を聞いて、真理はゆっくりと目を瞑った。うつらうつらと半分は意識を保ったまま車に揺られれば、たまに首がかくんっ、となってハッとする。  それをしばらく繰り返していたら、真理はいつの間にか眠ってしまって、バンッと扉が閉まる音と振動で意識が覚醒した。 (もうついたのかな)  寝ていたから分からないけれど、あまり時間が経っていない気がした。どこだろう、と辺りをキョロキョロ見渡せば、たくさんの車が停めてあって、無機質な感じの建物の中だった。  零夜が外から扉を開けてくれると、冷たい風が車内に入り込んできて、真理は思わず肩を竦める。 「大丈夫?」 「うん」  顔を覗き込んできた零夜に小さく返事をして、脇の下に手を回す彼に抱きつく。 「ここは……?」 「駐車場だよ、車停める所」 「おうち近いの?」 「エレベータで上がったらすぐだよ」  そう言って零夜は真理を抱っこしたまま、エレベータに乗った。暗かった駐車場に比べて、中は照明が眩しい。  そのエレベータは、最上階まで人を乗せること無く上がり、扉が開いた。ふわんっ、と体が浮くような妙な感覚に少しだけ気持ち悪くなる。  降りた後、エレベータを見つめていたら、勝手に扉が閉まったものだから、真理は少し怖くなった。  エレベータを降りてすぐの扉を開けると、零夜は靴を脱いで部屋に入り、辺りを見回してから、ふわふわした絨毯に真理を降ろす。 「ちょっと待っててね」  ここは真理が今までいた所と比べて、とても綺麗な部屋だった。思っていたより、ずっと広くて、明るくて、床もふわふわで冷たくない。 「壁がまっしろ……」  綺麗な壁に見とれていたら、零夜が歩いて行った方から、水の音がかすかに聞こえてくる。いったい何をしてるのか、凄く気になった。  「真理、おいで」  しばらくして零夜が戻ってくると、扉の所で手招きをしたので、真理はとてとてとついて行く。そこは、先ほど零夜が入っていった部屋で、浴室だった。湯船の方からは勢いよく流れる水の音がする。 「おふろ?」 「そうだよ」  部屋とは違った明るい照明が浴室の隅々まで照らしていて、少し眩しいなと思っていた真理は、あっと言う間に服を脱がされて浴室に入るよう促された。

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