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第10話

「シャワーかけるよ」  真理は温かいシャワーを頭からかけられて、体を軽く流される。パシャパシャと水が当たる感じに身震いすれば、零夜も自分の体を流して真理を抱っこした。そのまま泡だらけの湯船に入ると、零夜と触れ合うところがぬるぬるして変な感じがする。  ふわふわした泡で体が完全に隠れて不安だったけれど、そんなに怖くはなかった。 「……ふわふわ」  白いモコモコとしたそれが面白くて、手で掬って潰してみたりする。手の上で消えてくそれを見てるのは楽しくて、何度も掬った。 「しゅわしゅわしゅわぁ……」  そんな風に遊んでいた真理の体を、零夜はじゃぶじゃぶと洗い、くすぐったくて身を捩った真理が甘ったるい吐息を零す。 「れい、や」 「なーに?」  零夜はそう言いながら、真理の股間を優しく撫でるように洗った。ただ洗っているだけなのに、零夜の手付きは絶妙で、変な気持ちになってくる。体がびくびく揺れて、身をきゅっと縮めれば、零夜は真理の脚を優しく広げた。 「っ……ぁぅ」 「どうしたの?」  からかうように笑いながら言われて、真理の頬が熱くなる。鼓動はトクトクと速度を増して、それに比例するかのように、零夜の手に掴まれた自身も硬くなってくる。 「どうしたんだろう。真理のここ、何か変だねー」 「れいや……んん」  クスクスと笑う零夜に、少し……少しだけ真理は不安になった。何故か分からないけれど、零夜が少しだけ怖かった。  だけど、零夜はそんな真理に気づいたのか、優しく抱きしめて、額、頬、唇……と顔中にキスをする。何度も何度も触れてくる唇は、一瞬なのにとても優しくて、真理は安心できた。ひとつひとつのキス全てから優しさが伝わってきて、幸せな気持ちになる。 「かーわい」  真理の方から零夜の胸に擦り寄れば、零夜はとても喜んだ顔をして、真理の頭に手を伸ばす。けれど、真理は上げられた手が怖くて、ついその手を避けてしまった。  零夜は撫でようとしただけなのだが、真理はまだ慣れていなかった。不思議そうに真理の顔を覗き込む零夜に申し訳なく思って、真理は手をぎゅっと握り締めて頭を下げる。 「っ……ごめんなさい」 「俺が怖い?」 (違う! そうじゃ、なくて……) 「ごめんね。まだ会ったばかりだもんな」  そう言って、零夜はそっと離れてく。二人の離れた距離は些細だが、広くはない湯船の中ではとても遠く感じた。そんな距離を縮めようと、真理は零夜に手を伸ばす。 「こわく、ないから……」  零夜の腰へそっと伸ばした真理の手は、少し震えていたけど、零夜は真理を優しく抱きしめた。それはまるで、壊れ物を扱うかのように、優しく、優しく、真理のことを包み込む。 「なでられるの、すき。……だけど、まだ慣れない、から」 「うん、わかってる。少しずつ慣れてこうな」

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