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第13話
「大丈夫、です」
夢の内容は覚えていないけど、ものすごく懐かしい感じがした。目蓋を手でごしごし擦る真理は、ぎゅーっと抱き締められて息を詰める。そのまま髪を撫でられると、くすぐったかったのか零夜の胸にきゅっと隠れた。
「何かあったらちゃんと俺に言うんだよ?」
わかった? と言って、零夜は真理の両頬を手のひらで、むにっと挟む。
「ふぁい」
真理が返事をすると、零夜は手を離してベッドから降りた。
「ここ、ふかふかで気持ちいい」
ゆっくり起き上がって、ベッドを指差しながら思ったことをそのまま告げる。当たり前のことを凄く嬉しそうに言うものだから、零夜もつられて微笑んだ。
「それは良かった。こっちおいで」
真理は軽く伸びをしたあと、掛け布団から抜け出す。冷たい空気で少しひんやりとした絨毯の上に足をおろし、先を歩く零夜に四つ足でついていった。
部屋を出てすぐのリビングまで行くと、零夜が窓のカーテンを開ける。日の光が射し込んで、電気をつけなくとも十分なくらい、中は明るくなった。
「ソラがあおーい!」
真理は興奮した様子で窓に駆け寄り、ぴったり顔をくっつけてソトを見た。ビデオ以外で初めて見る明るくて青い空に、驚きと感嘆の入り交じった声をあげて、目をキラキラと輝かせる。そんな真理のことを零夜はクスクス笑いながら嬉しそうに見つめていた。
「少しそこで待っててね」
そう言って零夜が別の部屋に移動したのにも気づかずに、真理は外を眺め続ける。
ふわふわと浮かんでいる雲。キラキラした大きな建物。はるか下の方を走る車。そのどれもが真理にとって新鮮だった。
窓のそばに一羽の鳩がとまると、首を傾げるような仕草をするその鳩に続いて、真理も首を右に倒す。そうして鳩の首の動きを何度か真似していると、零夜がお盆を手に戻ってきた。
零夜はまたもやクスクスと笑って、お盆をテーブルに置き、真理を後ろから抱きしめる。ハッ、となってやっと零夜の存在に気づく真理にはお構い無く、零夜はそのまま抱き上げた。テーブルに面した椅子まで連れていき、真理をそのままそこに座らせる。
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