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第81話
「ムラムラすんの、そういう時期だからだろって思ってたんだよ」
「や、鞍馬は時期とか関係なく年がら年中ムラムラしてると思…」
「るせぇ」
「ぃだッ!」
脳天チョップ食らった。涙飛び出ちゃった。
ちくしょー。殴るならせめて最後まで言わせてからにしろよ。
俺ばっか、納得いかーん!
「テメェにムラムラしてたんだっつの」
「ふーん。……はい?」
ムカぷーん!して鞍馬の声を聞き流してた俺の耳に……
聞き流せない言葉がスルリと入り込んで、留まった。
「懐いてくるお前が可愛かったのは本当。くっついて微笑ってんの見て、その度ムラムラしてたんだけどな、お前男だろ?」
「ぁ……、うん…」
「男同士で出来るとか思わねぇし。だって開いてねぇだろ、マン…」
「わーっ!!わかったから!大丈夫!それ以上言うな!ありがとう!」
卑猥な言葉を慌てて止めた俺に、鞍馬は眉根を寄せる。
でもね、アンタと違って俺、慣れてないの! 男同士の猥談ならともかく、男女のそう云うの、範囲外なの!
女の秘所なんて一生見なくていいよ!
だからそういう会話は他所でやって下さい!俺に振らないで!!
首を横にブンブン振ってみせると、鞍馬は眉間の皺をちょっと浅くして、まあいいか、って短く息を吐いた。
「そもそも男相手にムラムラするとは思わねぇだろーが」
「……そっからかよ」
俺はそもそも男にしかムラムラしないから、その感覚わかんないけどね。
つかアレか、万が一にも有り得ないけど、もし俺が女相手にムラムラしちゃったら…、って考えると………ま、そういう事か。
「だから、ヤリたい盛りでスイッチぶっ壊れてんだな、と思ったわけだ」
「で、外で発散した?」
「お前相手には出来ねぇからな」
「……それ、中学の頃から?」
「だな」
……そんなの、その場で言えば、教えてやったのに。
男同士だって、ちゃんと準備すれば出来るんだよって。
「だから、お前に対して恋愛感情が無いっつーのは、」
「勘違いって訳な」
「おう。思い知ったか」
ようやく俺の言葉を完全に否定することが叶った鞍馬は、眉間の皺をすべて取り払ってその顔に笑みを浮かべた。
「俺はちゃんとテメェのこと、恋愛感情込みで好きだったぜ、トア」
「……そっか。俺も、好きだったよ……鞍馬」
「で、どうすんだ? あっちと別れて俺とやり直すか?」
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