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第89話
腰をクイッて持ち上げて、あきくんのあきくんにお尻をふにふに押し付ける。
「ン…」
「え、…十碧っ!?」
そうですよ。十碧くんの可愛い可愛いお尻さんです。
ハッキリ言って俺、お尻には自信あるんだよね。
通称、魅惑の桃尻だからね。
そう、そんな風に呼ばれだしたのは、中学校の修学旅行の夜のこと───
「ゔ…、ナニこの三連美尻…ッ」
誰かがそう呻いたのを皮切りに、背後で阿呆なやり取りが始まった。
「は?お前なに言っ…、!! ナニこれ!グラビアの尻よりよっぽどクルんだけど!!」
「ハァ?お前らな、いくらこの3人の顔が女子より可愛いからってまさか体まで、……ホンマや!!」
薄々な?こいつら俺達のこと話してるよな、とは感じてた。
でも俺は基本放置派だから、無視しようと思ってたんだ。
けどさ、可愛い友達が心底嫌そうな顔をして「キモい…」って呟いたのが聞こえてきて、更にもう一人の可愛い友達が恥ずかしさに顔真っ赤にして泣きそうになってる姿なんか見てみ?
こいつら…まとめてち○こ引っこ抜いたろか!ってなるから!
俺がやってやるしか無いと思うから!
「うっさい、お前ら!他人様の美しい尻見て騒いでないで、さっさとテメェの汚ねぇケツ洗い流してこい!」
「「「はいっ!女王様!!」」」
並んで体を洗ってたのは、勿論 俺と怜と月都の3人で、風呂の時間に見られなかった面々は耳に入る美尻の噂に歯痒い思いをしたとかなんとか。
怜の小さくて柔らかそうなお尻。
月都の白くてマシュマロみたいなお尻。
俺のぷりんとした桃尻に。
受験勉強の弊害、おかしくなってた精神状態の中、うちの学年の男共はまだ見ぬ俺たちの生尻に思いを馳せて、隙あらば触ろうとまでしてきて…(女の子の尻触ったら犯罪だもんな。…って、男の尻だって本人嫌がってたら犯罪だわ!痴漢野郎共!!)
そうそう。俺が何度引っ叩いても近寄ってきてた変態連中、ハッシーが心からの侮蔑の視線を浴びせて一言かましたら、おとなしく引き潮の如く去っていったんだっけ。
話が脱線しちゃったけど、そんな俺の魅惑の桃尻だ!
あきくんだってきっと、気持ちよくないハズ無い!……ハズ。
「ん…、ぁっ、きもちい…」
硬く張りつめた熱にスリスリすると、背後からも息を詰める気配を感じた。
塗るついた先っぽに窄まりを擦り付けると、軟らかくなってた俺のモノもやんわりと質量を増す。
「あきくんも、きもちい…?」
肩越しに振り返って微笑めば……
「十碧、だめだよ」
そこには、堪らん、十碧可愛い!って雄の顔したあきくんじゃなくて、
困ったように眉をハの字に必死に堪えてる様子のあきくんの顔が───あった……。
「えっ…、なにその超人的忍耐力!? それとも俺、全然色気無かった!?」
そうなら超ショックなんだけど!
目を見開く俺に向けて、あきくんはやっぱり困った顔してうっすら笑う。
「ううん。十碧は史上最高に可愛くて色っぽくて、…でも我慢しないと、ね?リビングに皆居るから」
「声、ガマンするからぁ」
「う…ん、でももう、お湯も溜まるから」
「じゃあ、ちょっとだけ。先っぽだけっ」
「………わかった」
「やった!」
やっと取り付けた了承に、ウキウキで腰を上げようとしたその瞬間、またふわりと体が持ち上がった。
一回立ち上がったあきくんは、あれよあれよという間に俺をくるっと回転さると、今度は正面から膝に跨って座らせる。
「えっ…と、初めての時は、後ろからのが挿れやすいらしいよ」
「今日は挿れません」
「えっ!? 挿れないの!?」
「初めから言ってるよ」
言ってるけど、言ってたけどぉっ、………うぬぬ…。さすが俺が好きになった男。強すぎるよ。
鋼の精神力の持ち主め。
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