97 / 120

第97話

誰がビッチじゃいコンチクショウ! 俺は腕を組んでソファーにふんぞり返って。 陽成さんは、床に正座して反省中。 でもさ、反省するとかごめんなさいの前に、まずは訂正だよね。 十碧くんは、ビッチどころか正真正銘まっさら綺麗な純白純情ボーイだって、認めるのが先だよね。 うぅ〜〜〜、俺の怒りゲージ、MAX振り切れた〜〜っ!! おのれ、陽成さんめ…… 食らえ!奥義・ジト目フラーッシュ!! ジトジトジトジト……ビビビビビビ……… 陽成さんは俺の顔を見られない。 効果抜群だ! 「兄さんは、そんな巫山戯(ふざけ)た勘違いで、十碧のことを泣かせたの?」 腕を組んで陽成さんの正面に立つあきくんの横顔は、心底怒ってます、の絶対零度。 そんなお顔もかっこいい……! しかも俺の為に怒ってくれてるとか! もうさ、極限まで好き好きって思ってたけど、それ軽く超越するよね。 好きの頂点、天を突き抜ける勢いでラブすぎるよね! 「僕としては、もう“兄さん”って呼ぶことすら憚られるんだけど」 「いやっ、お兄ちゃんは玲のことを思ってねっ」 「勝手に喋らない」 「はい すみませんんっ‼」 俺、ここに『あきくん最強説』を立ち上げます。 『お母さん最強説』は一時撤回。 うん、やっぱり弟属性の美形王子様は強いよ。 俺様兄貴相手だったらまた違うかもしれないけど、陽成さん、弟大好きお兄ちゃんだもんなぁ…。 これは勝てない。 みんなメロメロ。あきくん最強! 「十碧の事を責める前に、ちゃんと聞いたの?そのキスマークは誰に付けられたの、って」 「えっ、と……、うん、そうだね〜? 似たような事は聞いたかな〜?」 ───って、はい!? なんだって!? それいつ訊いたよ!? 俺、「キスマーク付いてるけどどうしたの?」なんてこれっぽっちも訊かれてないけど!! 「って言ってるけど、…十碧?」 「はい。よくそんなもの付けて戻って来られたな、って、首をトントンされました」 「兄さん?」 「首に、ね?付いてたから。…その、噛み跡と、キスマーク?」 「あっ、それズルい!陽成さん、キスマークなんて一言も言ってなかったじゃん!」 「あっ!…それ言っちゃダメでしょ、十碧君っっ」 「ダメじゃない!咄嗟に避けられなかったからって言ったのに、相手がその気だったら最後までヤラれてるとか、そんなに男とヤリたいなら あきくんと別れてハッテン場行けとか言われました!」 「あああぁぁぁ………」 「だから、ダメなのは俺じゃなくて、陽成さんの方だと思います。裁判長っ!」 指をビシッと突きつけると、陽成さんは床に両手を突いて、次の瞬間 その場に崩れ落ち這いつくばった。 K.O. You WIN!! もしくは、 有・罪!! 鈴原十碧、勝訴です!!!

ともだちにシェアしよう!