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第110話

よいこの十碧くんは、恋人同士、やっぱり隠し事は良くないよね☆と思い直し、陽成さんから言われた言葉を洗いざらい話した。 決してあきくんの迫力に怯えたからではないと言うことを追記しておく。 「へえ……。あの人、十碧にそんな事まで吹き込んでたんだ……」 話を聞き終えたあきくんは、部屋の温度を数度 下降させた。 呼び名が『兄さん』から『あの人』に変わってる…… う…わぁ、俺 愛されてるぅ! ってことでひとつ! 愛の深さに歓喜してるってことで、この体の震えの理由を落ち着かせよう、うん! 「十碧」 「ぅはいっっ!」 「? どうしたの? 震えてるけど、部屋、寒い?」 「ううんっ! だいじょぶっ!」 「うぅん……、でも、湯冷めするといけないから…」 そういう行為をしているワケで、当たり前のように薄着な俺たち。 薄着って言うか、ほぼ()だよね。全裸じゃないけど、HO・BO・RA!状態。 汗かいたしね、あきくんが俺の体調を心配してくれる気持ちは まあ分かる。 初めて話した次の日、雪に濡れて熱を出した俺は、あきくんの中で虚弱体質の枠の中に位置付けられてるのかもしれない。 実際は、年に一度熱出しゃ多い方な、ふっつーに丈夫な元気者なんだけど。 ベッドの脇に退かされた毛布に目をやったあきくんだったけど、何か考えるように首を傾げて、やがて俺に視線を戻した。 「とーあ」 目が合うと、ふわりとやさしげな笑みが溢れる。 「おいで」 「はいっ!」 もう、条件反射だよね! 広げられた手。吸い寄せられるように、俺はその胸に飛び込んだ。 「これで寒くない?」 「うん!寒くなぁい」 肩口にほっぺを擦りつかせると、擽ったいって笑いまじりの幸せそうな声。 「……ねぇ、十碧。こんなに可愛い十碧相手に、勃たないなんてある訳無いでしょう?」 「っ!!」 はう! あきくんが勃つとか勃たないとか言ってる…!! まさかの生々しい直接的エロワード!!! 「大体、今日だけで何度十碧に欲情したと思ってるの」 欲情……!! 「それに、十碧が僕を知らない頃から、僕の………オカズは、十碧でした…」 オカズ…だと───!? あきくんの口からそんな俗な言葉が発されるなんて…!! 「あの……十碧…? 十碧が何か返してくれないと、僕、一方的に猥談を聞かせる、悪い先輩になっちゃうんだけど………」 「──────っっ、プハァッ! ……っ、息、……息、するの、…っ、わすれ、てた……」 目の前で理想の王子様の口が、美しい日本語じゃない卑猥な言葉を紬ぐもんだから、驚きのあまり呼吸が止まっていたよ! 王子信仰の十碧くんビックリだよ!! まさかのカミングアウトに、頭がピヨピヨしてるよ! 今 敵にエンカウントしたら為す術無くやられるね! だってさあ、オカズってさ、ずっと妄想で俺のこと犯してました、ってコトじゃん!? そんなん言われたら、俺どうしたらいいの!? チョーシ乗っちゃうよ!? それに、今日だけで何度欲情したと思って………、ん…? ん?んん?? いやいや、確かに欲情はしてくれてたと思うよ。 勃ってたし、俺のことイカせて、かわいいって喜んでたし。 で、でも、さ………

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