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第115話

「こんな言い方、その……恥ずかしいんだけど……、十碧のこと、抱き潰すつもりなんてなくて…」 抱き潰すって……! その綺麗な顔からまさか出るとは思わない『THE 漢』な言葉に、カァッて顔が熱くなる。 「僕は、その……本当に気持ち良くて、止まれなくて、……でも十碧は、僕が挿れてからは…一度も、イケてなかったよね…?」 「……え?」 え? はぁっ!? いや、いやいやいや! 俺、めちゃくちゃイキまくってましたけど!? むしろずっとイッてる状態で突きまくられた所為でトンじゃったんですけど!? 「だから、もし十碧が辛いだけなら、これからは…」 「ちょっと待てーいっ!!」 「え……、十碧…?」 「それは、まてまてーい!だよ、あきくんっ! 俺、超イッてたし!」 「えっ…? 出てなかったよね…!?」 「出てなかったって…」 精液か! 「だからぁ! 出さないでもイケたりすんの! 挿れられる方は……、ってなに説明させてんの! あきくんのエッチ!」 「ごめっ…! えっ? でも、そんなこと堂上ひと言も…」 はっ! そっか……そっかぁ……。 あきくん、男同士のヤリ方知らなくて、堂上先輩に教えてもらったって言ってたっけ。 じゃあ、純粋で素直なあきくんは、聞いたことをそのまんま………ん? じゃあ、もしかして、アレも……? 「……あのさ、あきくん。んと……、指でイカせてくれた直後、間髪入れずに御尊棒…ち○こ突っ込んできたじゃん?」 「あ……、うん……。その……、イッた直後は体の力が抜けてるから、その瞬間を狙って挿れたら体に負担が掛からないって聞いて…。中、いっぱい擦ってあげたら早く馴染んで気持ちよくさせられるって。………違ったの?」 …………………堂上〜〜〜〜っっっ!!! 「あれダメだから!あんなん快感が過ぎてヤバいから! イッてる最中に突っ込んだりしたらイキまくっちゃって相当だから!相当なんだからね!?」 「う、うん、……相当なんだね…」 「相当だよ! それに、俺アレまでに何回出しまくってたと思ってんの! 精液なんかもう打ち止めだよ! もう出せないんだから、空イキしか無いじゃん! ドライでイキまくりだよ! ずっとイッてる状態維持で、奥の奥まで突かれまくり続けんだよ! 前立腺めっちゃゴリゴリ擦られんだよ!? 死んじゃうわ!!」 「ご…、ごめん……。そういう状態だったんだね………」 「そうだよ! だから、もう今後は突っ込まないとかじゃなくて、ちゃんと俺の様子を見つつ、イイ感じに攻めてください!」 「………はい。がんばります」 「…………でも、慣れてきたらとか、たまにだったら……、さっきみたいに激しいのも……吝かじゃない…って言うか………その…、きもち…よかったし…?」 「!………ふふっ。うん。ありがとう」 言いたいこと全部言い切った最後に顔を真っ赤に熟れさせた俺に、あきくんは漸く安心しきりの笑みを溢した。 ぎゅっと抱き寄せられたかと思えば、こめかみにチュって、かわいい音のキスをくれる。 ほっぺにもちゅっ。前髪にもちゅ。それからもいちど、ぎゅ〜っ。 俺も負けじと、ぎゅーって抱きしめ返した。 良い匂い。触れ合う肌がきもちいい。溶けちゃいそう。 目がトロンとしてくる。 ………にしても、だ。 何も知らない純なあきくんに、テキトーなこと吹き込みがって……… 堂上先輩め〜〜〜! なんか、沸々と怒りが湧いてきたぞ………!!! 「あきくん! 俺、堂上先輩にひとこと文句を言ってやりたい!」 「ん……、堂上…? なら、呼び出して奢らせようか? 明日のランチ」 「うん! 焼肉食べたい!」 「了解。じゃあ連絡入れるけど……後でもいいかな? もう少し十碧とイチャイチャしてたいな。このままで」 「! 賛成ですっ!!」 イチャイチャ、望むところですとも!

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