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第17話

その後は順調に熱が下がり。朝から病人食を少しずつ、でもお腹の空いてた俺は、夕飯ではご飯もおかずもバックバック食べようとして……… 「いきなりそんなに食べたら胃がビックリしちゃうでしょう。だーめ」 横から箸を取り上げられた。 「でも、昨日までは普通に食べてたし、具合悪かったの今日だけで…」 「ん?」 「…………わかりました…」 ───負けた! 笑顔の美形の笑ってない「ん?」の攻撃力っ!! 「それでも、熱も高くて具合悪かったんだから、体も胃も弱ってる筈でしょう?」 「………はい」 「また熱がぶり返す可能性も無いわけじゃないし。だからね、明日起きて全快してたら、美味しいもの沢山食べようね」 「うん」 いいこ、って頭を撫でてにっこり微笑むあきくんに、果たして逆らえる人なんて居るんだろうか。 ああ…尊い…… 「……あきくんも、いっしょに食べるなら」 「え?」 「明日もいっしょにいてくれるなら、今日のトコはガマンする」 「あ、…あぁ……」 俺の言葉の意図に気付くと、ちょっと困った顔をする。 なんか用事有るなら邪魔、したくないけど。 「忙しい…?」 「ううん、特に何も無いけど」 なら、泊まっていってくれないかな? 俺の、風邪っていうより 長いこと寒いトコに居たから熱出ちゃっただけで、伝染るようなもんでもないと思うし… 同じ部屋で寝るのが心配なら、リビングに布団敷いてもらったって…… 「七瀬君。明日土曜日で休みだし、親御さんにご連絡して大丈夫なら泊まっていってくれない? 私からもお家の方にお願いするから」 母さん…!ナイス追撃!! 「いえ、家の方は…、父の転勤で両親が県外にいるので、今は兄とふたり暮らしで…、だから連絡一本入れれば平気なんですが」 っ……! 「「ならばぜひ!!」」 母さんと2人、一言一句違えず被った誘い文句。 それはうちでは特に珍しい光景でもなんでも無かったんだけど…… 「っ……ふっ、……プフッ」 あきくんの中ではなんでかツボッちゃったらしい。 眉をハの字にして必死に堪えてたけど、我慢できずに小刻みに震えて笑いだした。

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