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第18話
「本当に明日平気なら泊まっていってくれない?この子ね、普段は私が少なめにしなさいって言っても目を盗んでこ~っそり食べちゃうのよ。お母さんの言うこと全然聞かないんだから」
「あっ、母さん!あきくんに変なこと吹き込むなよッ!」
「ほらほら、お母さんに向かってすぐそう云う言い方するーっ」
「仲良いんですね」
「「仲ッ!?…は、いいけどぉ」」
「フフッ、また揃った!」
また笑われた──!!
母一人、子一人(父親も居るけど置いといて)なんだから、仲が良いのなんて当たり前だと思う。基本、母親って人種は息子に弱い生き物だっていうし。
あきくん家 は違うのかな?
そう言えば、お兄さんが居るって言ってたっけ。ひとりっ子じゃないんだ。
お母さんも、お父さんの転勤についていっちゃうくらいだし、そんなに仲良くも……、はっ!! もしかして育児放棄 !?
「十碧?育児放棄じゃないからね」
「っ……?!」
俺、口に出してた!?
「ぜんぶ顔に出てるよ」
指先で鼻の頭をツンって。
笑われちゃった。
♦ ♦ ♦
10時頃、仕事から帰ってきた父さんが、アイスの入ったコンビニのビニール袋を手に部屋に現れた。
「十碧~、具合はどうかな?大丈夫そうなら明日にでも食べなさい」
袋の中にはカップアイスが二つ。
ご挨拶した先輩にも、って袋ごと渡してくれた。冷凍庫に置いてこなきゃ。
…でも、2つだけってことは、帰ってからあきくんのこと聞いたのかな?
自分の分が無いと、母さん拗ねちゃうと思うんだけど。
「ところで十碧、父さん今からちょっとコンビニに行ってくるけど、何か欲しいものは無い?」
「ううん、大丈夫。ありがと」
母さんの分は今から調達に行くようだ。
「なら、十碧は病み上がりなんだから今日は夜更ししないで早く休むように。じゃあ七瀬君、見張りを頼みます」
「は~い」
「はい。ご期待に添えるよう頑張ります」
「うん、よろしくね。それじゃあいってきます」
「「いってらっしゃい」」
アイスを代わりに置きに行ってくれたあきくんが、戻ってきてベッド脇に敷いた布団に横になる。
「十碧、寝るよ」
「まだ10時過ぎなのに?」
「お父さんと夜更ししないって約束したでしょう?」
「じゃあ電気消して、こっそり話してよう!」
あきくんは物言いたげに俺のことを見上げたけど、問答無用で電気を消した。
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