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第19話
掛け布団から手を出して下に向かってこっちこっち、って振ってたら、暗闇の中 布団がもそって動いて、手をきゅって握ってくれた。
「…ねぇ、あきくんの手?」
「ん?そうだよ。どうして?」
「だって、あきくん以外の手だったら恐い…」
床からニュッて手が出てくるトコを想像して、背筋がブルってなった。
「怖がりなんだ」
「えー…、だって、部屋真っ暗にして寝てるとさ、ベッドの上は聖域だから大丈夫だけど、そこからはみ出したら手首落とされたり髪切られたり……とか考えると、怖くない…?」
「あれ?じゃあ僕は今、聖域の外に一人きりで取り残されてるんだ」
「はっ!ほんとだ!!」
やばいやばい!お泊りが嬉しくて浮かれてた所為で、すっかり失念してたよ!
このままではあきくんが危ない!!
「あきくんっ、ベッド上がって!」
「ん……、え?」
「早く早く!それとも電気点けっ放しで寝る!?」
「え……、えー………」
「あー、もうっ!埒が明かない!」
リモコンを取って電気を点ける。
暗めにだけど、これなら真っ暗闇じゃないから安全な筈だ!
「えぇと……、十碧?」
「あきくんっ!何処も失くなってない!?」
「……ああ、うん……。本気だったんだ」
「今の間に早くベッドへ!」
「ええ…とね、十碧…」
繋いだ手に力を込めて引き上げようとするけど、あきくんは何故か困惑の表情を浮かべて身を起こそうとしない。
「夜は闇の眷属のテリトリーだよ!」
「あの…、それは、誰から教えてもらったのかな?」
「いとこのお兄ちゃん」
「そう…」
相槌を打つと、あきくんは頑なに起こそうとしなかった体を横向きにして、繋がってない方の手で俺の頭を撫でた。
「でも、僕は大丈夫。…父方が陰陽師の家系で、母方がエクソシストの家系だから。日本の妖怪からも海外の悪魔からも、僕が十碧を護ってあげるよ」(そんな訳がない)
うわあぁ…っ!
そう言って、にっこりと笑ってくれるあきくんの、なんて頼もしいことか!!
「僕が布団で寝ていれば何も寄って来られないから、十碧は安心して眠っていいよ」
「うんっ!」
にしても、凄いなぁ。
あきくんのお家、和と洋の退魔の専門家なんだぁ。
あ、じゃあお父さんの転勤って、そう言った仕事の関係で?
将来的にはあきくんも、どっちか継ぐことになるのかなぁ…?(そんな訳がない)
袴姿の陰陽師、黒いロングコートのエクソシスト……うぅ~ん、どっちのあきくんも美しい!!
「そんなことより、と~あ」
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