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第21話
朝ご飯を食べて、そろそろ…なんてツレナイことを言い出すあきくんを引き留めて。
ランチタイムだけ出て来ると、パートに向かう母さんを一緒に見送った。
今日は土曜日。
仕事が休みの父さんは、ソファーに座ってのんびり、ウトウトしながらテレビを観てる。
俺は、クラスの友達からLimeで教えてもらった休み中に出た宿題を、あきくんに教わりながら解いてる。
あきくんの教え方は分かりやすくて大助かり!…なんだけど、ずっとアルファベットばっか見てると、やっぱり目が回ってくる……うぷ。
集中力が持たなくなって、
お腹減ってきたな…なんて壁掛けの時計を見れば、まだ11時半。
父さんが、12時着で宅配ピザを予約してくれてるから、届くまであと30分。
それまでこの謎言語と向き合ってなきゃなのかと思うと………
「はい!あきくん」
「なんですか?」
挙手して発言。
「辛くなってきました」
「うん。始めた頃からずっと辛そうだね?」
「だってだって、英語なんて宇宙語だもん。文法グッチャグチャだしー、たったの26文字ですべてを伝えようとするとか、ちょっと意味わからん!漢字覚える方が全然楽!」
「ほんとに?漢字は得意なの?」
「……ひらがな五十音なら任せて!」
「…………うん。カタカナも覚えようね」
カタカナだって得意だってば!
世界史のカタカナだらけの名称覚えるのは苦手だけどさ。
だからそんな可哀想な目で俺を見ないでっ。
「あっ、そーだ! あきくんって4月から大学生?」
この時期に暇そうにしてるってことはもう進学が決まってるんだろうけど。
そう言えば聞いてなかったな、と上手く話が逸れれば儲けモン!と思いながら問い掛ける。
「そうだよ。大学生」
「何処行くの?越したりしちゃう?」
ここだって都内に出るのそんなに面倒な場所じゃないけど…、でも、通学に2時間とか掛かるなら大学近くにマンション借りようとか、友達とルームシェアしようとか。地元を離れちゃうことだってあるかもしれない。
あ!地元って言えば、俺あきくんの家があるの何処だか知らない!!
「越さないよ。地元で進学だから、実家暮らし継続。兄さんと同じ大学」
「実家って何処にあるの?」
「学校から徒歩圏内」
「わっ!放課後に遊びにいけちゃうじゃん!」
「んんーと、大学生の方が帰りが遅いかな」
「そっかあ…」
残念。
「ねえねえ、地元の大学って…」
「K大」
「はぅっ!天才児!!」
「天才じゃないよ」
大袈裟に驚いた俺に、あきくんは可笑しそうに声を立てて笑う。
「だってね、中三の時のカテキョがK大生だったんだけど、学校の教科書見せてもらったら宇宙言語どころか、もう未知過ぎて!」
「なにか専門分野の教科書だったのかな」
「数学だった!」
「ああ……。十碧は数学も苦手なんだね」
しみじみと頷かれた!!
「じゃあ、そろそろ宿題に戻ろうか」
「う……、うぅ~………」
忘れてなかったか。
この天才児め!
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