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第22話

渋々ワークブックを開く。 ズラーッと並んだ英単語に一瞬にして気が遠くなる。 「目が回る…」 苦痛を訴えると、苦笑で応じられた。 見逃しちゃくれないみたいだ。 あきくん、意外とスパルタ。 ───とその時、 ピンポーン 天の助け!! 「ピザ来たっ!」 開いたワークを喜々として閉じて立ち上がる。 どうせ後でやらなくちゃいけないのに…なんてあきくんのボヤキはシャットダウン。 「取り行ってくる~♪ あきくんはコーラ用意して待ってて!父さんのは麦茶ね」 俺の看病や母さんの手伝いで、もうすっかりうちのキッチンを覚えたあきくんに飲み物の用意をお願いして、リビングから飛び出した。 いや、宿題から逃げ出した。 カード決済でネット予約したから現金のやり取りは無し。 ピザとサイドメニューを受け取るだけで完了だ。 今日のピザは、4種×3枚カットを2枚。 普段は、母さんがあんまり量食べないからMサイズだけど、父さんが男3人だからってLサイズで頼んでくれた。 俺が好きなハワイアン(パインと生ハム)も入ってるやつ。 食事にパイナップルは邪道!って人が居るけど、俺は酢豚にパイン賛成派。 超甘党だから、スイーツピザやフルーツサンドも大好き。 シェー○ーズに行った時は真っ先にスイーツピザを取りに行く。寧ろ、それだけでお腹いっぱいにしちゃうくらい甘いの(大体2種類しか置いてないけど)ばっかり食べまくる。 そんで、一緒に行った皆から、うわって目で見られるんだ…… 「はいは~い、ご苦労様でーす」 ピザ屋さんウエルカムモードで玄関を開けひら………パタン 見なかったことにしよう。 「おい、トア!テメなに閉めてやがる」 つか、なんでうちの前に鞍馬が居んだよぉ~~っ!! ………あ! ガチャ 「もしかしてピザ屋さん?」 「ピザ屋の配達の格好に見えるか?」 「………見えませんね…」 じゃあ、と再び閉めようとしたドアの隙間に足を突っ込まれた。 「だからなんで閉めんだコラ」 「えー?」 「顔も見たくねーって?」 「てかさぁ、俺たち別れたよね?」 なのになんで家までお仕掛けて来てんだよとか、散々浮気繰り返しておいて どの面下げて会いに来たとか、そりゃあ不満だってジャブジャブ溢れ出るさ!文句なんか尽きないよ! 「あ?具合悪いっつーから来たんだろが。…もう良さそうだな」 「あのさあ……」 そういうことは付き合ってる時にやれよ! 「───十碧?大丈夫?」 戻るのが遅いのが気になったのか、リビングの扉からあきくんが顔を見せた。 「……笹谷?」 「アンタ……、七瀬って3年か?」

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