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第24話

別れただのどうだのって、流石に玄関で出来る話じゃない。 「父さん、ピザじゃなかったよ~。俺たち部屋行ってるから、ピザ来たらお願いします!」 父さんにそう断って、鞍馬ごと自室に移動した。 ほんとはもう二度と入れてやる気なんて無かったのに! 「で、なんだって?」 当たり前にベッドに座ろうとする鞍馬を引っ張って床に座らせて、自分は椅子に座って脚を組む、腕を組む、そんで見下(みくだ)す! だってのに、ベッドに座ってもらったあきくんよりよっぽどエラそうに胡座をかく鞍馬。 なんだってそんなに態度デカいんだよ! ほんっと、盗賊の頭だな!まるでお宝の上でふんぞり返ってるみたい。 付き合ってる間も一応気になってた。気にはなってたよ?流石に。常にエラそうで態度デカいとこ。 けどさ、『好き』ってのは眼を曇らせるもんで、そんなトコも格好いい♡ なんて。 格好いい……そんな訳があるか! 電車内で脚ガッて開いて座る目付きの悪い男なんて、ただの害獣だわ!!社会のゴミだわ!! 「トアさ、俺がキレイなお前を独り占めして自慢したいから付き合ってたんだっつってたろ?」 「っ───!! ///」 おま…っ、やめろ そういう言い方すんの! それじゃ、俺が自分のこと綺麗って自惚れてるようにあきくんに取られちゃうだろーがっ! 「だったら、こないだのアイツだって良いハズじゃねーの?」 「は?誰?」 「あの女みてーなヤツ。アサト、っつったか?」 てめぇ、名前も知らずに浮気してたんかい! 「……ハァ…。まあ、ね。だったらアサトと付き合えば?あんな可愛い子と付き合えたら、それこそ校内で自慢し放題なんじゃないの」 はいはい、話は以上。お帰り下さい──と言おうと口を開いた頭頂部を、前触れもなく立ち上がった鞍馬が手刀でトスッ…! 「ばっ…!舌噛むわ!殺す気か!」 「っせーな。黙って最後まで聞いてろ」 ヒドイ!自分で俺に質問してきたくせに! 横暴だ!! 涙の滲む目でオレサマ男を睨み付けてると、ついと横から腕を引かれた。 「…あきくん……」 「守ってあげるからこっちにおいで」 「うんっ!」 引き寄せられて、あきくんの隣にぴたっと寄り掛かるように座る。 そんな睨み付けても怖くないよーっだ。 夜叉か羅刹か な鬼男と、菩薩様みたいな優しい王子様。俺がどっちを選ぶかなんて、一目瞭然だろ。 「ナニ可愛ぶってやがんだ、テメェは」 はうっ!? そういう事ボソッと言うんじゃない! あきくんに、『へぇ、可愛ぶってるんだぁ』って思われるだろーが! 違うから!こっちが俺の素だから!! ガラが悪いの鞍馬のが感染(うつ)ったせいだから!このガラ悪伝染病男!! 「で、聞け」 「………はいはい」 「浮気はな、浮気にすぎねぇんだよ」 「…………は?」 「だから、本命はお前だって言ってんだろーが」 コイツ───! またそこに話ぶり返しやがった───!!!

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