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第27話

発熱から、すっかり回復した日曜日。 今日はあきくん()へおでかけだ。 俺とたくさんの時間(とき)を過ごしたいって言ってくれたあきくん。 明日もまた会おうって約束したんだけど、俺の体調を気にして、「今日はお母さんにご挨拶したら帰るけど、明日もまたお邪魔してもいいかな?」なんて。 それは如何せん甘やかし過ぎじゃないだろうか。 「それなら、あきくん家 行きたい!」 「電車乗るの辛くない?」 間髪入れずに その返し。 「もう平気だよ」 「だったら、家の中じゃ退屈だろうし、何処か出掛けようか?」 「むぅ~~…、退屈じゃないもん」 気遣ってくれるのは有り難いけど、それより今は、俺の意見を受け入れてもらえる方が何倍も嬉しい! 「どっか遊び行ってさ、楽しいのって、なんか普通じゃん。  じゃなくて、家の中とか、二人っきりのトコでまったり過ごした方が、お互いのこと理解できたり、…こう、黙ってても空気が重くないとかさ。分かって良くない?」 首を傾けて訊ねるけど、あきくんはそれには頷かずに、ちょっと眉尻を下げて困った顔をするだけ。 「……もしかして、家に俺、呼びたくない?」 俺、図々しいこと言っちゃった? 友達じゃない、まだ告白の答えも返してない俺なんかを家にまで上げたくな… 「違うよ。誤解しないでね、十碧」 ふわりと俺の頭を撫でて、あきくんはマイナスな考え事を柔らかな声で遮る。 でもやっぱり顔だけは、困った表情のままで…… 「……わかったよ。うちでいい」 我儘なやつだと思われたくない。あきくんにだって、家に他人を上げたくない事情があるかもしれないしな。 あきくんに限ってそんな訳あるハズ無いけど、部屋が汚れてるとか、…あ!大学生のお兄さんがオネエだとか!? そう思って、俺から折れた。 ……んだけど。 「少し待ってて。兄さんに聞いてみるから」 「えっ!? オネエのお兄さんになにを!?」 「えっ?……うん、明日の都合をね」 あっ、そっか! お兄さんとふたり暮らしなんだもんね。 そりゃ、お兄さんの都合もあるよね。 カレシ呼んでイチャイチャしようとしてたのにお邪魔したりしたら、俺 馬に蹴られちゃうし。 「──あ、兄さん?今平気?…うん。明日は何か用事ある?」 あー。でも、あきくんのお兄さんだもん。女装してても綺麗なんだろうなぁ。 絶対、リアル女子大生より美人だよね。 「うん。後輩をね、一人家に連れて行きたいんだけど」 はっ!じゃあ あきくんトコは、兄弟揃って 恋愛対象が同性なんだ。 「ううん、反対。家に居てほしいんだ」 ………ん? 「うん。出来れば、ずっとリビングで一緒に」 ───なんでだ!?

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