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第32話
それから、お互いに用事の無い平日は毎回、正門で待ち合わせて制服デートを楽しんだ。
休みの日は私服デート。
うん!高校生活満喫中って感じだ!
まだ高校生の身で手持ちも多いわけじゃないから、常に遊びにお金を掛けることは出来ない。
だから、デートする場所はどちらかの家が主だ。
俺は部活もやってないし、用があるって言ったら友達と遊ぶぐらいだから、基本暇人だ。
あきくんは進学するのが地元の大学だから、引っ越したりどうしたりって用意は少なくて、三年生は自由登校の時期だし、そんなに忙しくないらしい。
俺に告白する前は、受験が終わったらアルバイトをしようかと考えていたらしいけど、今は少しでも多くの時間を一緒に過ごして好きになってもらうのが先決!って、隠さない恋心を暴露された。
あきくん、意外と肉食系?
王子様な見た目に反してガッツリアピールで獲物を狙うとか、ギャップ萌えで悶させるつもりか!
そんなある日。
テスト一週間前に入ったその日。
突然あきくんは俺の専属カテキョモードに突入した…!
デート場所に学校の図書室が加わり、厳しい監視の元、試験勉強に励む日々。
でも、その日の課題を済ませれば目一杯の甘い言葉と甘い物をくれるもんだから、なんとかやり切ろうって、いっぱいいっぱい頑張れた。
こんなに勉強頑張ったの、受験の時以来。
…ううん。もしかしたら受験の時以上!
やっぱりあきくんは、俺をその気にさせる天才だ。
飴と鞭のバランスが絶妙!
まあそんな訳で、結構な頻度であきくんと逢瀬を重ねる日々が続いている。
今日は学年末考査最終日。
午前中で学校が終わるから、一番仲良い友達連中はファミレスで打ち上げをするらしい。
俺は勿論、あきくんにいっぱい構ってもらうんだぁ!テスト明けの清々しい気分で!
最終日までよく頑張ったね!って褒めてもらって、今日はまるまる飴をもらう予定♪
いつも通り日直の号令が終わるやいなや、正門までダッシュする。
後ろなんか振り返りもせずに。
友達にはホームルーム前に、じゃあまた答案返却日に!って、別れの挨拶済だ。
なるべく待たせたくないもんね。それに、一秒でも早く逢いたいと言うか!
正門に向かう途中で立ち止まって振り返る。
斜め後ろから手を振って追いかけて来るあきくんは、今日もキラキラの王子様。
「十碧、お疲れ様」
「あきくんっ!多分ね、俺すげーイイ感じだった!」
「うん。頑張ってたもんね、十碧」
いいこいいこ、って頭を撫でてくれる手は優しくて温かい。
「じゃあ今日は、頑張った十碧にご褒美。何か欲しいものや、行きたいところはある?」
「わっ、マジで!? えっとね、じゃあ…」
「ファミレスでテスト打ち上げ!」
「からの、カラオケ!」
「良かったな、十碧。七瀬先輩も、打ち上げに付き合ってくれるそうだ」
「っっ!?───なんだおまえらはぁっ!!?」
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