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第33話
「マジっすか!じゃあ十碧と知り合ったの2月入ってからなんスね!?」
「そうなるね。僕の方は君たちが入学してきた当初から十碧の事を知っていたけど、十碧はそれまで僕のことを知らなかったみたい。ね?」
「う、うん……」
「どうやって知り合ったんですか?」
「う~ん…、それはナイショ」
「七瀬先輩は十碧の何処が気に入ったんですか?」
「それも、十碧と僕だけのヒミツかな」
あほの西野こと 西野昌也 に、入学してからこっち 席替え2回したのになんでかずっと隣の席にいる関知春 、小学校から一緒の 学年主席で 中学の友達からは『橋神様』って呼ばれてる 橋上裕久 まで。
ダッシュの俺を何故か校門まで追っ掛けてきた3人は、これまた何故か、あきくんに質問攻め。
あほの西野や好奇心旺盛な関だけなら兎も角、冷静沈着 滅多なことじゃ心動かされない氷の男と名を馳せるハッシーまでこの場にいるって一体どういう事だ!?
「あきくん…」
ツンツン、って袖を引っ張ると、隣に座るあきくんは俺を振り向いて、うん、と頷く。
「混む前にオーダーしちゃおうか」
「あっ、はーい」
「俺もう決めてきた!ミックスグリルにドリアとドリンクバー!とサラダ、一番安いやつ」
「あ、コラ西野、まだ呼び鈴 押すんじゃない」
って、ちっがーーう!!
俺、あきくんと2人で過ごしたかったんだってば!帰りたいって言ってんの!
行きたいトコはあきくん家で、欲しいものはあきくんの手料理!
なんかDVDレンタルして帰って、お昼はあきくんのオムライス食べて、夜まで2人でゆっくり過ごしたかったんだってばぁ!
「十碧はなに食べる?」
じとーっと座った視線を向けると、あきくんは困った顔をして笑った。
「十碧の分はご馳走するから 機嫌直して」
耳元で囁いて、頭をなでこなでこ。
「………もう一声」
「う~ん……。夕飯はうちで食べる?」
「うん。でも、もういっちょ」
「………泊まる?」
「うんっ!」
「客間に」
「あきくんの部屋!」
「あきくんにも大人の事情があります…」
「それじゃあ十碧くんの機嫌は直りません」
「……………わかりました。僕の部屋へどうぞ」
「やった!勝った!」
手にした勝利にガッツポーズを決めてると、ハッシーに名前を呼ばれた。
人差し指でメニューをトントン。早く決めろってことらしい。
「西野がドリンク取りに行きたすぎてソワソワしてて鬱陶しい」
とは、西野に対して呆れ顔の関。
「んー、俺パスタにする。あとドリンクバー」
なんのパスタにしよっかなぁ、ってメニューに目をやると、
「それと小エビのサラダもつけようか、十碧」
野菜も取らなきゃね、ってあきくん。
あきくんの奢りなのに、サラダまで付けてくれるなんて!太っ腹か!!
「なんか、七瀬先輩って十碧のお母さんみたいッスね」
「え、…あ、そうかな?」
西野はほんっとあほで一言余計!
あきくんを困らすんじゃなーっい!!
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