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第37話
スーパーに寄って、「新婚さんみたいだね!」って話しながら卵を買って、あきくんの家へ一緒に帰る。
お兄さんの陽成 さんはまだ帰ってなくて、2人きりになっちゃったけど。
逢瀬 を重ねるうちにあきくんも2人で逢うことに慣れてくれたから、今は性欲抑え込んで無理に俺と過ごしてるってことは無くなってると思うんだ。たぶん。
そもそもあきくんって淡白そうだし、とても性欲魔神って感じしないし。
でも、不必要に引っ付かないように気は遣ってみる。
あきくんも、外では隣に座るけど、2人の時は正面に陣取るもんね。
だから俺も不用意に近寄ったりしないで、真ん前からキラキラを楽しんでる。
ああ…、こんなに近くから、美形の王子様オーラを受けることが出来るなんて……
夢みたいにしあわせな時をありがとうございます!!
こんなオーラ放てるの、ライト浴びてる時の男性アイドルだけだと思ってたよ、俺。
「十碧、先にお風呂どうぞ」
あきくんのトロトロオムライスで夕飯を済ませて、洗い物ぐらいするって言ったのに「いいよ」ってソファーに座らされて。
まったりとテレビを観てたら、頭をぽんって撫でられた。
「あっ、もうそんな時間?」
「うん。もう8時だから」
あきくんちのお風呂タイムって早いんだな。
俺はいつも十時頃からまったり一時間ぐらい入ってるから、いつの間にそんな遅い時間に!?って思っちゃった。
「じゃあそろそろ帰るよ」
傍らに置いたカバンを持って立ち上がると、あきくんが小さく「えっ」と声を上げた。
気にせず、ハンガーに掛けてもらってたジャケットを取りに行く。
「あんまり遅くなるとあきくん、心配するじゃん?一人で帰らせられないって」
鞍馬と付き合ってた頃は、九時十時に帰るとかザラで、結構頻繁に外泊もしてた。
まだ高校生だけど、男だから。親もそんなに過保護に心配したりしない。
連絡入れないのは流石に怒られるけど。
今から帰れば8時半頃には家に着くし、父さんより早く帰れちゃうかも。
流石にさ、俺もやり過ぎたなって反省したんですよ、直後。
いきなり泊めてくれとか、あきくんの部屋で寝るんだ、とかさ。
───十碧と二人で夜を過ごしたりなんてしたら、暴走しちゃいそうで自分が恐い。
そんなこと言ってくれる人相手に、我慢させようなんて……
俺も男だから分かる!
それって、鬼だ。ヘビの生殺しだ!
西野のアレはオーバーだけど、好きな人と一緒の部屋で眠ろうなんて、エロシーンまっしぐらのシチュエーションだ。
さすがのあきくんだって、ドッキドキしちゃうハズ。
だから、我慢なんてさせないでいいように、今日のところは帰ろうかなって思ったわけなんだけど……。
「十碧、帰っちゃうの?」
なんで善行を成した俺にそんな目向けてくるんだよ!?
なに?俺、悪いことしてんの!?
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