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第39話

結果─── シャンプーもボディソープも、ドラッグストアで見かけるような、ごく一般的なやつだった。 入浴剤に至っては、うちで使ってるのとおんなじだった。 この3つの組み合わせがイイ匂いを作り出してんのかな?黄金コンボ? お風呂から出て来たあきくんに寄って首元をクンクン。 「十碧……?」 ほら、やっぱり良い匂いする。 あっ、でも…… 「なんでおんなじシャンプーとか使ったのに、俺もおんなじ匂いになんないんだろ?」 やっぱり美形って、内側から滲み出る美形の芳香ってのがあるのかな。 あきくん、香水はつけてないって言ってたし。 「十碧は甘い匂いがするよね」 あきくんも俺の匂いをすん、って嗅いでくる。 「甘い…って、虫寄ってきそうな?」 「虫寄ってきたら嫌じゃない?」 「……イヤです」 そう言えば、外に居ても特に虫寄ってくることもないし。 そう云う甘いじゃないのかな…? 「別の虫は寄ってきそうだけど」 「ん?…別の虫?」 変なことを言われて首を傾げると、「満員電車とか、気を付けてね」って言われた。 『別の虫』って、痴漢とかってこと?その虫もとんでもなくイヤだな。 「ま、俺は別に女に間違えられる顔でもないし、平気でしょ」 「むしろ、女の子より綺麗だから余計に心配」 「えーっ!だったらあきくんのが、痴女に襲われないか心配なんだけど!」 「十碧に通学電車乗って欲しくないな」 「だったらあきくんには俺と一緒以外で外に出て欲しくないんだけど!絶対、色目使うヤツいるもん!」 「はぁー…。ただいま、バカップル」 「はっ…!おかえりなさいっ、陽成さんっ」 「……おかえりなさい、兄さん」 あきくんと互いに心配しあってたら、帰宅した陽成さんに呆れ顔を向けられた。 バカップル…って、まだ付き合ってもいないんだけどな、俺たち。 あきくんはお兄ちゃんに誂われて恥ずかしかったのか、コホンと誤魔化すように咳払いすると話題転嫁。 「十碧、テレビ観る?それとも何かDVDでも…」 「ゲイビ借りてきたよ。観る?十碧くん」 「兄さん。十碧に変なもの見せないでくれる?」 「変なもんかねぇ」 ゲイビって…… この人、俺達の事からかう為にわざわざ借りてきたのかな? あほだな。 「あれ?十碧くん?そのなんとも言えない顔でお兄さんのこと見るの やめてくれる?ねえ?」 「兄さんの言うことは気にしなくていいからね。十碧にはまだ早いんだから」 ゲイビね。 ぶっちゃけ、観たことが無いわけじゃない。 勿論俺じゃまだレンタルしたり出来ないから、入手経路は……ナイショ。 ただ、なんかさ…… 男! だったんだよね。 2人とも、『漢』だったんだよ。 俺が好きなのは、『THE 漢!』って感じの超★兄貴なタチじゃなくて、アイドルみたいなキラッキラの王子様。 ネコもガチムチのゲイじゃなくて、綺麗だったり可愛かったり、2人して花や星が舞っちゃうようなキラキラカップルが好ましい。 汗臭い漢同士の汁塗れのセックスが観たいんじゃなくて、内側から光を放つような花の王子様みたいな美形に、良い匂いのするふわっふわのベッドで優しく抱かれたいんだよ。 夢見がち上等! でもそれが、絶対譲れない俺の男道なんだ!! ま、そんな訳で。 俺のバイブルはゲイビでもゲイ雑誌でもなく、主に女の子が好んで読む少女マンガみたいな男同士の恋愛物語だったりする。 現実が見たくないわけじゃないんだ。ただ、 現実だって、美しくあれ──! って思うだけ。 その為に俺だって、腹筋付かない程度に鍛えて腰括れされてるもん。 まあ…、元々筋肉付き辛い体質ってのもあるけど……。 スキンケアだって欠かさない。顔だけじゃなくてボディもやってる。 子供の時、乾燥肌だった頃の名残だけど。 髪型とかもイケて見えるようにカットしてもらって、毎朝時間掛けてセットしてる。 ワックスとかでベタベタカチカチになるのはイヤだから、ブラシとドライヤーでふんわりなるように。 だから、周りから綺麗って言ってもらえるのも、遺伝のお陰ばっかりじゃない。 俺の努力の賜物なのだ!! やっぱり好きな人からは、誰よりも綺麗って思って欲しいもんね。

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